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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『若草物語』1949年版 再見加筆

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Little Women

1949年アメリカ映画  MGM カラー 122分

監督 マーヴィン・ルロイ

出演 ジューン・アリスン マーガレット・オブライエン エリザベス・テイラー ジャネット・リー ピーター・ローフォード メリー・アスター ロッサノ・ブラッツィ C.オーブリー・スミス

 

 

南北戦争中の北部のとある町で暮らすマーチ家は、父が牧師として従軍中で母(メリー・アスター)と、長女のメグ(ジャネット・リー)、次女のジョー(ジューン・アリスン)、三女のエイミー(エリザベス・テイラー)、末娘のベス(マーガレット・オブライエン)が、肩を寄せ合って暮らしていました。ある日、ジョーは、隣のお金持ちの家の息子ローリー(ピーター・ローフォード)と知り合いになります。そこから、マーチ家と隣のローレンス家は交流を始めますが……。

 

 

ご存じルイザ・メイ・オルコットの名作の2度目の映画化です。MGMが総力を入れた豪華スター共演で、見るからにきれいな映画でした。

南北戦争の時代。北部のとある街で暮らすマーチ一家は父が従軍中で、母と4人姉妹が肩を寄せ合って暮らしていました。決して裕福とは言えない暮らしの中でも、姉妹は想像力を働かせ、また母の愛に満ちた教えに添ってそれぞれの人生に踏み出して行くのでした。

 

大好きな原作の映画化としては、これは大成功の部類に入ると思います。ただ、未だに引っかかる点が一つ。4人姉妹の3女と4女、ベスとエイミーの順番が逆なのです。これはエリザベス・テイラーとマーガレット・オブライエンをキャストに使いたかったゆえに起きたことです。二人の年齢はひっくり返せないし、リズはどう見てもエイミーであって間違ってもベスではない。マーガレットはやっぱりどちらかと言えばベスでしょう。キャストにこだわって、こんな有名な原作までひっくり返してしまうとは、恐ろしやハリウッド!

しかし、この逆転現象もぴったりキャラクターがはまっているので許せてしまうところがこの映画。ジューン・アリスンは当時32歳になっていて、勿論ジョーにはほど遠い年ではありますが、彼女の明るく賢明なキャラクターはジョーにぴったりで、好きな女優さんであることも手伝って年齢なんか気にしないことにしています(笑)。ジャネット・リーはまだ新進女優でしたが、とにかくきれいで上品でまたもやどこから見てもメグにぴったりです。ちなみにこの2人、実年齢ではジューン・アリスンの方がジャネット・リーより年上ですが、まあ2人とも大人だったから問題なしだったんでしょうね。

リズはやはり美人でわがままなエイミーにどんぴしゃりですし、マーガレット・オブライエンも他の姉妹と少々年が離れるもののはかなげでおとなしい印象がベスにぴったりでした。今、見直してみると、エイミーは、この映画の中での最悪の部分のひとつ、ジョーの原稿を焼いてしまわないんですね。忘れていました。人気女優のリズにそんな悪役はさせられないという忖度なのでしょうか。まあ、おかげで、大嫌いなエイミーのことも、この映画の中では穏やかに見ていられます。

 

お母さん役はメリー・アスターで『マルタの鷹』の悪女役が印象的な人ですが、良妻賢母の鏡を演じてそつがありませんし、ローリーはピーター・ローフォード。ケネディ大統領の妹さんと結婚した人ですが、まあこんなものか、と(笑)。ベア教授はロッサノ・ブラッツィで髭はやしてちょっと目には彼には見えません。

知り尽くされた話だけに、映画化ではキャスティングの成功が成否を握ると言っても過言ではありませんが、その点この作品はほぼ成功といえると思います。姉妹のドレス、家の中のセット、ピクニック風景、街の様子、効果的な雪の情景など、すべてが古き良きアメリカを体現していて、この時代に愛着を感じる人には嬉しい映画です。そして黄金時代のハリウッド映画の力をまざまざと感じさせる映画でもありました。オープニングとテーマ音楽が素敵。

 

トレイラーです。

 

 

オープニングです。とても、可愛い音楽。

 


 


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