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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『チャイナ・シンドローム』

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THE CHINA SYNDROME

1978年アメリカ映画 カラー COL 122分

監督 ジェームズ・ブリッジス

出演 ジェーン・フォンダ ジャック・レモン マイケル・ダグラス ダニエル・ヴァルデス スコット・ブラディ ジム・ハンプトン ピーター・ドゥーナット ウィルフォード・ブリムリー

 

キンバリー・ウェルズ(ジェーン・フォンダ)は、TV局の花形キャスター。フリーのカメラマン、リチャード(マイケル・ダグラス)と共に取材に来ていたが、急遽カリフォルニアのベンタナ原子力発電所に取材に行くことになる。上の部屋から、制御室を見ていたキンバリーたちは、事故が起こるのを目撃する。制御室長のボス、ジャック・ゴデル(ジャック・レモン)をはじめ、所員は大慌て。事故が治まった時は、大変な喜びようだったリチャードは、この様子を、密かにカメラに収めていた。キンバリーとリチャードは、この事故をニュースで流したいと言うが、上からの命令で、フィルムを取り上げられてしまう……。一方で、ベンタナ原子力発電所は、原子力委員会が調査するが、事故の御咎めはなし。しかし、ゴデルは重要なことに気づいてしまう……。

 

絶頂期だったジェーン・フォンダを主演に迎え、名優ジャック・レモンの熱演を引き出した、マイケル・ダグラスがプロデュースした傑作です。

 

今でこそ、原発には大きな問題が指摘されていますが、この頃からこんなに大きな問題を含んだ作品が含まれているのだということを思い知らされます。初めてこの作品をTVで見た時、ラストシーンが忘れられませんでした。そして、どこの世界でもある隠ぺい体質。正義は正義で通らない現実、など、21世紀になっても何も変わらない現状があからさまに描かれています。

 

この映画が全米公開された直後の1979年3月、アメリカのスリーマイル島で原発事故が起こり、一気にこの映画の内容が迫真性を帯びてきました。今見ても、十分に迫真性を持って楽しめます。社会派映画として、原発の危険性を声高に叫ぶだけではなく、サスペンス要素もはらむことで、万人に見やすい映画にしているのです。

 

70年代のトップ女優で、キャリアウーマン役といえばこの人だったジェーン・フォンダ。綺麗でした。特にキャリウーマンらしいパンツスーツ姿が素敵です。それで、ブラウスだけふわっとした柔らかい生地の物を着て、女性らしさを演出しています。こういうところにも憧れます。

 

ジャック・レモンは、この映画でカンヌ映画祭主演男優賞を受賞しました。それに値する熱演です。ジャック・レモンといえば、コメディの印象が強いですが、演技に真摯に向き合う人で、その人柄が役にも出ているように感じます。

 

ジャック・レモンの親友役を演じたウィルフォード・ブリムリーは、何とこの映画がデビューだったらしいです。でも、絶対に忘れられない役です。80年代にNHKで放映された『頑固じいさん孫3人』のおじいさん役の人なのですが、立派におじいさんに見えるのですが、実はとんでもなく若かった、というびっくりな人でした。

 

チャイナ・シンドロームとは、炉心が溶けて、理論的には地球を貫きチャイナに達することを言います。地下水に出会えば爆発して、沢山の人の命を奪うことになります。当時、流行った言葉です。

 

容赦なくこういう映画を作るアメリカの気骨溢れる精神は、大いにも見習いたいところです。生きているうちに、是非見ておきたい映画の一本です。

 

トレイラーです。

 

 

 

 

 


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