本日の21時から、NHKBSプレミアムにて、放映されます。傑作です。お見逃しなきよう。
OCTOBER SKY
1999年アメリカ映画UNI カラー108分
監督 ジョー・ジョンストン
出演 ジェイク・ギレンホール クリス・クーパー ローラ・ダーン クリス・オーウェン ウィリアム・リー・スコット チャド・リンドバーグ ナタリー・キャナディ スコット・マイルズ
1957年10月、ソ連が人類初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功した。ウエストバージニア州の炭鉱町ロックウッドでも、沢山の人がそれを目撃した。そのひとり、17歳のホーマー・ヒッカム(ジェイク・ギレンホール)は、すっかりロケットに魅了されてしまう。彼は、仲間のロイ・リー(ウィリアム・リー・スコット)、オデール(チャド・リンドバーグ)とロケット設計の夢を叶えるために奔走し出す。しかし、彼らだけでは知識が足りない。秀才だがオタク扱いされているクエンティン(クリス・オーウェン)の助力を得て、彼らは本格的にロケット作りを始める。しかし、炭鉱の現場監督を務める父ジョン(クリス・クーパー)は、息子も、自分と同じ道を歩むものと思い込んでおり、その夢を認めない……。
素晴らしい映画です。原作は、ホーマー・ヒッカム・Jrの『ロケット・ボーイズ』。事実に基づく物語なのです。原作は、昔読んで凄く感動しました。その映画化を見たいと思いつつ、なかなか叶わなかったのですが、やっと見ました。感動しました。涙腺崩壊です。
舞台となるのは、50年代のアメリカの田舎町。小さな炭鉱町で、町の男性たちは大人になったら炭鉱マンになるのが当たり前という世界です。主人公の父も例外ではありません。この父親は、普段は現場に出ずに、自分のオフィスを持っているので、現場監督という立場なのでしょう。自らの仕事には、高い矜持を持っており、仲間からも町の人たちからも尊敬されています。主人公の兄は、アメフトのスター選手です。もし町から出るならば、アメフトで奨学金を貰うしかない世界です。しかし、主人公はアメフトも強くない。秀でたところは何もないのです。それでも、炭鉱マンになってこの町で人生を終わってしまうのは嫌だと思っています。そこで、出会ってしまったのがスプートニク。彼は、ロケット打ち上げに夢中になります。
友人たちも誘い、ロケットボーイズを結成。郡の科学コンテストに出場して、全米大会に出場出来れば、大学の奨学金が得られるかもしれないのです。人生で選ぶ道がぐっと開けます。この4人組、良いですねえ。男の友情、羨ましいです。ロケットを飛ばせるようになったのも、最初はオタク扱いされて学校の中で敬遠されていたクエンティンの頭脳あってのこと。そして、どんな時も諦めずに仲間を引っ張っていくホーマーの力。本当に、男の友情物語には泣かされます。若かったジェイク・ギレンホールの、素直な演技もすがすがしいものでした。
そして、ローラ・ダーンが演じる先生も大変良いです。彼女は、生徒たちが炭鉱マンになるだけが人生じゃないと信じています。だから、ホーマーの夢を積極的に応援していきます。でも、夢を叶えるためには数学が苦手、と事実も言ってくれます。先生が郡の科学コンテストのことを教えてくれたおかげで、彼らの夢はぐーんと広がります。
最高だったのは、クリス・クーパーが演じる頑固者の父親です。この炭鉱町では、リーダー的存在です。長男は、自分の思う通りの人生を歩んでくれますが、次男はよりによってロケットを飛ばすなどという訳のわからない妄想にとりつかれてしまい、困惑します。父親として、息子の進む道を軌道修正しようとしますが、息子の信念は固いものでした。だからと言って、この父親、根負けするような人じゃないです。アメリカ開拓史から描かれてきた、強い父親像をそこに見ることが出来ます。子供は、自分の背中を見て育つものだという思いがあるんでしょう。大好きなクリス・クーパーが、しかめっ面で名演技を見せます。彼なしでは、この映画は語れないでしょう。父親と息子の確執という永遠の課題も見事に描かれています。
夜空を横切る人工衛星の美しさ。夢を持つことの素晴らしさ。家族の強い愛情。友情の素晴らしさ。そして、恩師との出会い。人生に必要な全てが詰まった映画です。
炭鉱ものに外れなし。間違いなく、素晴らしい作品です。50年代ポップス満載なのも嬉しいところ。是非、ご覧ください。尚、 OCTOBER SKYというタイトルは、THE ROCKET BOYSのアナグラムになっているそうです。お洒落!
トレイラーです。