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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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追悼 ルイーズ・フレッチャー

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映画『カッコーの巣の上で』(1975)でアカデミー賞主演女優賞を受賞した女優ルイーズ・フレッチャーが現地時間23日、フランスの自宅で亡くなりました。享年88。

 

ルイーズ・フレッチャーは、1934年7月22日アメリカ・アラバマ州生まれ。代表作となった『カッコーの巣の上で』では、ジャック・ニコルソン扮する主人公が入院したオレゴン州立精神病院を絶対的な権力で抑圧する、冷酷非情なラチェッド看護師長を怪演し、アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。また、アメリカン・フィルム・インスティテュート(AFI)が選出した「映画史に残る悪役ベスト100」のトップ5に入る、伝説的なキャラクターを生み出しました。

 

アカデミー賞授賞式では、聴覚障がいの両親に向けて手話で感謝の気持ちを伝えるなど、感動の受賞スピーチも語り継がれているます。そう、彼女はコーダ(両親が聴覚障害者)なのです。今年のアカデミー賞作品賞に選ばれた、コーダです。

 

オスカー像を手にしたフレッチャーは、スピーチで「受賞できたのは、皆さんが私を憎んでくれたから」とユーモアを交えながら、率直に喜びを表現。そして最後の最後に、聴覚障がいの両親に向けて手話で語りかけました。

お父さん、お母さん、あなたたちは私に夢をもつことの大切さを教えてくれました。そして今、その夢がかないました

涙をこらえながらの彼女の手話スピーチは、アカデミー賞の長い歴史の中でも最も感動的瞬間のひとつとして語り継がれています。『カッコーの巣の上で』の頃は、まだアカデミー賞受賞式を見る年ではなかったので、この手話スピーチのことは初めて知りました。ヘンリー・フォンダが『黄昏』で主演賞を受賞した時に、娘のジェーンが手話でもスピーチしたのが感動的でしたが、ルイーズが最初だったのですね。尚、ラチェッド役には、ジェーン・フォンダやアン・バンクロフトが候補に挙がっていたそうなのですが、彼女たちが断り、ミロス・フォアマンは、ルイーズに白羽の矢を当てたそうです。

 

2020年には、ラチェッド看護師長が主人公の前日譚シリーズ「ラチェッド」がNetflix配信されました。

 

他には、『エクソシスト2』(1977)、『ブレインストーム』(1983)、『炎の少女チャーリー』(1984)、『スペースインベーダー』(1986)などの映画や、「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」(1993~1999)、「HEROES/ヒーローズ」ファイナル・シーズン(2009~2010)といったテレビドラマに多数出演。近年もNetflixドラマ「Girlboss ガールボス」(2017)にゲスト出演していました。

 

『カッコーの巣の上で』はアカデミー賞でも作品賞、監督賞(ミロス・フォアマン)、主演男優賞(ジャック・ニコルソン)、主演女優賞、そして脚色賞という主要5部門を総ナメにした名作です。この主要5部門受賞は41年ぶりの快挙で、その後、1991年の『羊たちの沈黙』が続くことになります。

 

ラチェッド看護師長なんですが、凄く悪女と言われますが、私はあまりそう思わないんですよね。彼女は、きちんと仕事をしているだけじゃないですか。患者には、きちんと時間通りに薬を飲ませないと。患者から見ると、管理されることになるから、嫌な師長なのかもしれませんが。

 

それから、87年の『屋根裏部屋の花たち』も印象に残っています。私の好きな作家V.C.アンドリュースの作品で、とても厳しい祖母役を演じています。孫達が可愛いだけに、余計可哀想で……。ここでも、やっぱり厳しい役ですね。

 

安らかにお休みください。

 

 

 

 

 


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