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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『女は二度決断する』

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AUS DEM NICHTS

2017年ドイツ映画 カラー 106分

監督 ファティ・アキン

出演 ダイアン・クルーガー デニス・モシット ヨハネス・クリシュ サミア・シャンクラン ヌーマン・アチャル



ドイツ、ハンブルグ。自らはドイツ人のカティヤ(ダイアン・クルーガー)は、トルコ系移民のヌーリ(ヌーマン・アチャル)と、息子と共に幸せな生活を送っていた。しかし、ヌーリの店が爆破され、ヌーリと息子が亡くなる。警察は、ヌーリが移民だったことから、外国人同士の抗争を疑うが、カティヤは、ネオナチによる移民を狙ったテロに違いないと訴える。やがて、カティヤが事件の際に目撃していた若いネオナチの夫婦が逮捕されるが……。



移民問題で、世界中が揺れています。EUの中で、一番の移民受け入れ国ドイツにも、実は移民問題が存在します。ドイツには、ポーランドやトルコからの移民が元々多いのです。サッカーのドイツ代表にも、ポーランド系、トルコ系が沢山います。しかし、その中のひとりメフメト・エジルが言っていました。「僕らは、勝てばドイツ人。負ければ、トルコ人なのさ」ショックな言葉でした。



主人公カティヤは、ドイツ白人ですが、夫はトルコ移民でした。でも、ふたりは愛で結ばれ、可愛い息子もいて、幸せな生活を送っていたのです。それなのに、一発の爆弾が、彼らを引き裂いてしまいました。夫と息子を一度に失ったカティヤは、絶望のどん底に沈みます。何故、自分もそこにいなかったのか。死にたい、とさえ思います。



ところが、その時、犯人とみられるネオナチの若い夫婦が逮捕されたと連絡が入ります。父親が、連絡したというのが驚きです。父親は、息子夫婦がネオナチに傾倒して、大きな差別意識を持っていくのが耐えられなかったのでしょう。カティヤは、妻を事件現場で見ており、大きな証拠となると思えました。



第三帝国だった時、ドイツは多くのユダヤ人、外国人、自国の人さえも沢山殺めました。戦後は、その反省から、積極的に平和路線を取っています。今、EU最大の移民受け入れ国となっているのも、その反省があってこそ、と思います。ところが、メルケル政権は、そのために風前の灯。明らかに、ドイツでもナショナリズムが吹き荒れて、移民に寛容な社会ではなくなったようです。それは、ドイツだけのことではない。多くの先進国が向き合っている厳しい現実です。だからといって、テロという行為に出るのは、最も卑劣だと思います。テロで殺される人には、この映画のヒロイン、カティヤのような家族がいるのですから。



ダイアン・クルーガーは、この映画で、カンヌ映画祭の主演女優賞に輝きました。渾身の演技です。今だから、特に見たい一本だと思います。



トレーラーです。











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