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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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シネコンと70ミリ

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 シネコン全盛の今。かつて足しげく通ったほとんどの映画館がなくなってしまいましたしょぼん


 シネコンの良いところは、何と言っても綺麗なところでしょうか。シートも座り心地が良いです。色々上映していることは、私にはあまり関係ありません。シネコンの前に行って何を見ようか迷うことはないので。この映画を観たい!と決めていくからです。あと、お手洗いが広くて綺麗。数も多いし。これって重要ですよ。沢山行列されていては、映画に間に合いませんから。


 ただ、やっぱりスクリーンが小さいかな、と思ってしまいます。私が見たい映画は、シネコンの中でも大きな劇場で上映されることがほとんどないからかもしれませんが、大きな劇場でも、せいぜい500人規模ですよね。当然、スクリーンも小さい…。


 というのも、私が大スクリーンに慣れてきたからです。名画座めぐりをしていた私は、小さい劇場、小さいスクリーンにも慣れていますが、一方で、正真正銘の大劇場にも数多く通いました。ほぼ、1000人規模の映画館ですね。それだけスクリーンも大きかったです。


 名古屋にあった某劇場は、東洋一大きいスクリーンと言われていました。私は、ここで『マイ・フェア・レディ』他沢山の映画を観て、ヒッチコックの沢山のリバイバル映画も見ました。


 他の大劇場では、『サウンド・オブ・ミュージック』も見ました。


 フィルムのことには詳しくないんですが、昔は70ミリ映画というものが流行っていて、前述のふたつのミュージカルもそんな70ミリ映画でした。『サウンド・オブ・ミュージック』は、他の小さな映画館でも何回も見ましたが、やはり最初に70ミリで見た大画面の感動には及びませんでした。細部までくっきり見えるのです。画面の迫力が違うのです。ああ、あの大画面の迫力をどう説明したらわかって貰えるのでしょうか。ただただ、映画ファンの方に見せてあげたいです。


 あと、以前の劇場の良かった点は、気に入った映画を何度でも見られることでしょうか。入れ替え制ではなかったので、見たかった映画、見て気に入った映画は、もう一度見ることが出来るのです。『サウンド・オブ・ミュージック』も、同時上映作品を含めて2度見ました。映画館に8時間ぐらいいたことになりますね。昔は若くて、元気でした(苦笑)。『メリー・ポピンズ』も途中でディズニーのアニメを挟んで2度見たし、他にも劇場に居座って2度見た映画は数知れず。あ、当時はほとんど映画は2本立てでした。


 マニアックな名画座は、女性一人では入りにくい面もあるし、古い劇場が多くて、椅子も固く、設備も古く、必ずしも居心地が良いとは限りませんでした。売店にも置いてあるのは、パンフレットぐらいとか。居心地の良さや安全さでは、シネコンには遠く及びません。


 それでも、時折あの頃を懐かしく感じるのです。シネコンのNo.いくつ劇場ではなく、〇〇シネラマや、○○劇場や、シネラマ〇〇という固有名詞を持った映画館で、あの映画を見た、ということが鮮明な記憶になっているのです。映画の思い出は、映画館の思い出に直結します。


 もし、故郷にいたなら、それらの映画館の廃館前にきっと駆け付けただろうに、と思うと、大きな淋しさを感じます。







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