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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『ロング・エンゲージメント』

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ロング・エンゲージメント 特別版 [DVD]/ワーナー・ホーム・ビデオ
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UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES

2004年フランス映画 カラー 134分

監督 ジャン=ピエール・ジュネ

出演 オドレイ・トトゥ ギャスパール・ウリエル ドミニク・ピノン シャンタル・ヌーヴィル マリオン・コティヤール アンドレ・デュソリエ チェッキー・カリョ ジョディ・フォスター ティッキー・オルガド



1917年、第一次大戦中のフランス。ソンム県の塹壕の中で激しい争いが繰り広げられていた。子供の頃の病気の後遺症で足が悪いマチルド(オドレイ・トトゥ)は、幼馴染のフィアンセ、マネク(ギャスパール・ウリエル)の帰りを待ちわびていた。マネクの部隊では、実につまらない理由で兵士が死刑を宣告されていく。5人の兵士が死刑判決を受け、武器を持たないまま、ドイツとフランスとの中間地帯へと追い出される。そして、マチルドの元に、マネクの戦死の報が届く。しかし、マチルドは、マネクは生きていると信じており、私立探偵を雇って、調査させる……。



セバスチャン・ジャプリゾの『長い日曜日』を壮大なスケールで映画化した作品です。監督のジャン=ピエール・ジュネと、主演のオドレイ・トトゥは、大ヒット作『アメリ』の名コンビですが、『アメリ』の感覚で見ると、良い意味で裏切られます。舞台が戦争だけに、ずっと重い映画になっています。



第一次大戦は、塹壕の戦争であるとも言えると思います。1917年、それぞれ職を持ち、家族や恋人がおり、恐らくは徴兵されたのであろうごく普通の市井の人が、実につまらない理由で死刑になります。彼ら5人は、フランスとドイツの中間地帯に放り出されます。進むわけにも、後退するわけにも行かない地域です。敵からも、味方からも、砲弾が降ってきます。身を隠す場所もありません。そんな中で、5人の兵士は、どう生きて、死んでいったのか。 


マチルドとマネクは、幼馴染です。子供の頃から、マネクはマチルドに関心を持ち、足の悪いマチルドを背負って、マネクは灯台に上ります。灯台の上から二人で見た景色。この映画は、映像が美しいです。この辺りは、ジャン=ピエール・ジュネだな、と思います。大人になって、婚約したふたり。しかし、マネクは戦争に行くことになります。もしマネクを乗せた自動車に、近道を使って追いついたら、マネクは帰ってくる、と信じて、マチルドはひた走ります。



マチルドには、こうしたこだわりがあり、何度も、例えば何秒までに何々したらマネクは生きていると賭けるのです。一種の花占いのようです。でも、マネクが死ぬとは考えていないので、あくまで形だけなんですけれどね。



マネクの戦死の報を受けても、決してそれを信じないマチルドは、探偵を雇ってマネクを探させます。この映画は、銃後の女性を描いた作品でもあります。愛する男のために復讐を続けるマリオン・コティヤールの役どころは、特に迫力があります。ジョディ・フォスターは、揺れる女心を繊細に演じます。



一方の戦争に駆り出された男性たちは、もうすぐ20歳というマリクから、人生経験豊富な中年男性までいろいろです。マリクを演じたギャスパール・ウリエルの美男子ぶりは際立っています。調達屋さんも面白いし、親友同士で戦場に出ていくふたりの物語も……。ただ、登場人物が多すぎて、一度では覚えきれません。映画の冒頭に兵士たちの説明があるので、それを頭に叩き込む必要があるのですが、実際にはかなり難しいでしょう。何度も見る映画なのかもしれません。



幸せな生活を送っていた人々を、一瞬で地獄に陥れる戦争。かなり、酷い場面もあります。それが戦争。亡くなっていく兵士の背景には、その死を悲しむさらに多くの人々がいるのです。



トレイラーです。










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