Quantcast
Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3696

『襲われた幌馬車』

$
0
0
襲われた幌馬車 [DVD]/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥1,944
Amazon.co.jp


THE LAST WAGON

1956年アメリカ映画 20世紀フォックス カラー 99分

監督 デルマー・デイビス

出演 リチャード・ウィドマーク フェリシア・ファー スーザン・コナー トミー・レティグ ステファニー・グリフィン レイ・ストリックリン  ニック・アダムス カール・ベントン・リード



ハーパー3兄弟を殺した罪で、保安官に捕まったコマンチ・トッド(リチャード・ウィドマーク)は、西部を目指す幌馬車隊に出会う。敬虔なキリスト教徒の彼らは、保安官がコマンチ・トッドを虐待していることに、批判的な目を向ける。幌馬車隊の女性ジェニー(フェリシア・ファー)は、トッドに優しく接し、彼女の弟ビリー(トミー・レティグ)は、トッドを慕うようになる。ジェニーやビリーなど若者達が川に行った間に、幌馬車隊はアパッチ族に襲われ、全滅した。運よく、縛られていた馬車が崖下に落ちたトッドだけが生き残っていた。家族を亡くして哀しみにくれる彼らを率いて、トッドはアパッチから逃れようとするが……。


リチャード・ウィドマーク演じるコマンチ・トッドは、白人ですが、コマンチ族に育てられました。ですから、コマンチ族の知恵を身につけています。西部を生き抜くのに必要な知恵のほとんどを身につけている、と言っても過言ではないかもしれません。しかし、彼は殺人犯で指名手配されています。捕まれば十中八九絞首刑。彼が幌馬車隊に出会ったのは、保安官に連行される途中でした。連行といえば聞こえが良いですが、トッドは保安官に虐待されていました。馬車につながれたまま、トッドは幌馬車隊と一夜を過ごしますが、大変なことが起きます。アパッチ族が、幌馬車隊を襲撃して、皆殺しにしたのです。生き残ったのは、トッドとジェニーとビリーの姉弟、ふたりの若い青年とふたりの姉妹だけでした。このままここに残り、騎兵隊が来るのを待つか。それとも、辺りを知り抜くトッドと行くか。トッドは選択を迫ります。



こうしてトッドと、西部初心者で頼りない若者たちとの旅が始まるのです。それは、勿論楽しい旅であるはずなどなく、再びアパッチがやってこないか、恐怖に脅えた旅でした。



周りが頼りない若者と少年たちばかりということで、映画はリチャード・ウィドマークの独断場となっています。西部劇の大スター、ウィドマークですから、その存在感は半端じゃないです。犯罪者と知りながらトッドを慕うビリー少年がけなげで可愛いです。ビリーを演じたトミー・レティグは、長寿TVドラマとなった、あの『名犬ラッシー』の少年です。なるほど、演技もうまいです。ビリーの優しくて綺麗な姉を演じたのはフェリシア・ファー。理知的で、しっかり者の女性です。フェリシア・ファーは、ジャック・レモンと結婚しました。他に、50年代後半に人気を博すスーザン・コナーが、白人とネイティブアメリカンの混血の娘として登場します。



派手なガンファイトはありませんが、ほとんど武器もないトッドと若者たちの道中がハラハラさせられて、面白くて見るのがやめられません。犯罪者トッドに反感を抱く者もいて、命がけの旅なのに、一つ岩とはいきません。監督は、デルマー・デイビスだけに、安心して見られる西部劇です。ウィドマークファンでしたら、必見です。








Viewing all articles
Browse latest Browse all 3696

Trending Articles