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MODERN TIMES
1936年アメリカ映画 UA 白黒 87分
監督 チャールズ・チャップリン
出演 チャールズ・チャップリン ポーレット・ゴダード チェスター・コンクリン ヘンリー・バーグマン
製鉄工場で働くチャールズは、スパナを手に、ベルトコンベヤーを流れてくる部品に、ネジを締めていく仕事を繰り返していた。ひとりが失敗すると、ラインは止まってしまう。上役は、自室でテレビで監視している。そんな生活に、段々彼の頭の中は混乱していき……。
ベルトコンベヤーの上に乗る部品、その前に人間が列をなし、ひとりひとりが与えられた作業をこなします。ひとりがテンポを誤ると、コンベヤーが止まってしまい、直ぐに叱られます。もはやどちらがベルトコンベヤーに乗る部品なのかわかりません。工場の機械化で大量生産が可能になった時代を鋭く皮肉るチャップリンの代表作のひとつです。本人が、巨大な歯車の中を周っていくシーンが有名です。
工員に、昼食の時間も働かせるために、自動で昼食を与える装置が開発され、実験されます。実験台になったチャップリンは、機械にスープを飲まされ、口を拭かれ、はさみで食べ物を運ばれ、丸ごとのトウモロコシを回しながら食べさせられます。機械に弄ばれるチャップリンの面白いこと!この映画は、基本的にはサイレントで作られています。チャップリンの身振り手振り、身体を張った演技を堪能することが出来ます。
ただし、「ティティナ」だけは彼が歌っています。カフェで口から出まかせの言葉で、面白おかしく歌うチャップリン。さすがです。何を言っているかさっぱりわからないのですが、歌になっている。
そして、もうひとつ。あの名曲「スマイル」もチャップリンが作った曲であり、つくづく彼の多彩さを感じずにはいられません。
波止場のお腹をすかせたおてんば娘として登場するポーレット・ゴダードは鮮烈です。船からバナナを奪い取って、家に持ち帰り、妹たちに食べさせます。この時の彼女の目は、野生のようにギラギラしています。当時、既にチャップリンと夫婦だったのか、あるいはこの後に結婚したのかわかりませんが、チャップリンが有名でなかった彼女を使ったのは正解だと思います。美人なのに、裸足で駆け回り、野性を表現できる女優はそうはいないでしょう。
この後、ポーレット・ゴダードは、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ役の一番候補になりますが、お嬢様なのにギラギラした生命力を感じるスカーレットの役は、彼女にも合っていたと思います。一番候補とされたのも当然でしょう。
一般的には、文明批判、資本主義批判として扱われるこの映画ですが、私は、人生賛歌こそが最も彼の表したかったことではないのかとも思います。辛い時にも流れる「スマイル」の優しい曲。
ラストシーンが素敵です。
トレイラーです。