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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『戦場のメリークリスマス』

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戦場のメリークリスマス [DVD]/紀伊國屋書店

¥5,184
Amazon.co.jp




MERRY CHRISTMAS, MR. LAWRENCE
1983年日本・イギリス・ニュージーランド合作 カラー 123分
監督 大島渚
出演 デビッド・ボウイ トム・コンティ 坂本龍一 ビートたけし ジャック・トンプソン



 1942年、ジャワ。ヨノイ大尉(坂本龍一)が長を務める俘虜収容所に、英国陸軍少佐ジャック・セリアズ(デヴィッド・ボウイ)が連れてこられた。瀕死の状態だったセリアズに手厚い看護を受けさせるように、通訳を務めるジョン・ロレンス中佐(トム・コンティ)にヨノイ大尉は告げる。収容所には、名誉を重んじる俘虜長のヒックス(ジャック・トンプソン)などがいた。血気盛んなハラ軍曹(ビートたけし)は、厳しい制裁を俘虜に与えることに躊躇がない。そんな中、ヨノイは、何故かセリアズに惹かれていく。



 ♪タンタンタンタンタン~のテーマ曲があまりにも有名な、大島渚の話題作です。デビッド・ボウイ、坂本龍一と、役者が本職ではない音楽畑のふたりが共演するということで、話題になりました。
 
 
 デビッド・ボウイの訃報後、見直してみましたが、やはりボウイは美しい。荒涼とした収容所の劣悪な環境、汚い衣服を着ていても、それでも尚かつ美しい。赤い花を食べるシーンが映える人なんて、そうはいないでしょう。改めて、惜しい人を亡くしたと思いました。


 ヨノイは、所長としてはまだましな方だとは思うのですが、収容所自体が、ジュネーブ条約を完全に無視した体制と環境。酷いものです。特に、看護病棟にいる病気や怪我をしている兵士たちの姿は、アウシュビッツを思い出すほどです。日本軍のした行為は、同じ日本人としても許されないものだったと思います。

 
 俘虜長のヒックスを演じたジャック・トンプソンは、結構有名な俳優で、スター・ウォーズサーガで、アナキンの母が再婚した相手です。あの時は車椅子に乗っていたと思います。彼が立てついたことで、処刑されそうになり、その時に、あの有名なシーンがあります。


 デビッド・ボウイと坂本龍一は、どんな関係だったのでしょう。決して友情ではありません。戦場特有の同士意識などでもありません。とすると……観客側に答えは委ねられているのでしょう。


 ボウイ、つまりセリアズの若い頃の、お屋敷に咲き乱れる花々。弟の美しい歌声。荒れた戦場から、シーンが変わって、ため息が出るような美しい光景が繰り広げられます。まだ幼い弟のボーイソプラノは、まさしく天使の歌声。この映画の見どころの一つだと思います。パブリックスクールに進んで、弟を守らなかったことを後悔し続けるセリアズは、幼いままの弟に会いに行きます。あの出来事が、セリアズを大きく変え、正しいと思うことをやり遂げる人間にしたのでしょう。



 いささかまとまりのない感想になってしまいましたが、あの音楽が鳴ると、やはり心が高ぶります。デビッド・ボウイの美しかった頃。「メリークリスマス、ミスターロレンス」の言葉。色んなシーンが頭に浮かぶ、時が経っても褪せない映画だと思います。
 


トレイラーです。




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