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EL ESPIRITU DE LA COLMENA
1973年スペイン映画 カラー 99分
監督 ビクトル・エリセ
出演 アナ・トレント イザベル・テリェリア フェルナンド・フェルナン・ゴメス
1940年頃、スペイン中部カスティーリャの小さな村オユエロスに、『フランケンシュタイン』の移動巡回映画がやってくる。たまの娯楽に、村の人々は大喜び。6歳の少女アナは、姉のイザベルと映画を観に行き、最後に女の子が死んだのだろうか、と疑問を持つ。アナは、イザベルから、フランケンシュタインは村のはずれの一軒家に住んでいると聞き、それを信じる。その村はずれの一軒家に、イザベラと行ってみるが、誰もいない。しかし、気になったアナは、それからまたその一軒家を訪れるのだが……。
公開当時に、ミニシアターで見ました。ミニシアターという公開館が市民権を得始めた頃でした。時は、1985年。この映画の製作は73年ですから、12年も後の公開ということになります。この映画を見た時、主人公の少女たちはずっと幼いと思い込んでいましたが、公開当時はそうでもなかったということに最近気づいて、びっくりした次第です。
1940年頃、スペイン内戦が終わった後の話です。この映画を真に理解するには、やはりスペイン内戦及びフランコ独裁政権の知識が必要なのではないかと思います。ですから、そのあたりに疎い私は、何もかも想像するばかりです。
アナとイザベルは、父フェルナンドと、母テレサ、お手伝いのミラグロスと暮らしています。屋敷は大きいのですが、寂れていて、中もほとんど何もない。父親は、学者かなにかなのかと思いますが、養蜂をしています。養蜂学者?母は手紙ばかり書いています。母親の手紙から察すると、内戦は何もかも滅茶苦茶にしてしまった。恐らくは、豪華だったであろう家財も、そして一家の家族、友人なども散り散りになってしまったのではないかと思われます。皆さん、どこでどうしているのか、と母は、平和だった頃を思い出して手紙を書いているのでしょう。
アナとイザベルは、遊びたい盛り、好奇心満載の年頃です。ある日やってきたフランケンシュタインの映画から、彼女たち、特にアナの想像力はかきたてられることになります。
映画は、アナの視点から描かれますが、余計なナレーションは入りません。アナ・トレントの吸い込まれるような黒い瞳で見た全てが画面に映し出され、観客も一緒になって見るのです。
そして、考えるのです。アナの見たものは、本物なのだろうか。幻想なのだろうか。どこからどこまでが、現実なのか。
幼い姉妹たちは、ふたりで話す時、ほぼ常にささやくようにしています。父親も母親も、大きな声を出したりしない。ただ、一シーンを除いては。
不思議な魅力を持ち、映像美を楽しむと同時に、難しい映画でもあると思います。映画が作られたのは73年。フランコ独裁が続いている時でした。その時代背景を知れば、きっともっともっと多くのことがわかってくるのでしょう。
その時に、もう一度見たいと思います。アナ・トレントは、当時人気がありました。今は、五十路。そして、私が通い詰めた、この映画を見たミニシアターももうなくなりました。
トレイラーです。
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『ミツバチのささやき』
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