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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『イカとクジラ』

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イカとクジラ コレクターズ・エディション [DVD]/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

¥1,480
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THE SQUID AND THE WHALE
2005年 アメリカ映画 カラー 81分
監督 ノア・バームバック
出演 ジェフ・ダニエルズ ローラ・リニー ジェシー・アイゼンバーグ オーウェン・クライン ウィリアム・ボールドウィン アンナ・パキン


 夫のバーナード(ジェフ・ダニエルズ)は、かつて脚光を浴びた作家。しかし、今は鳴かず飛ばずである。妻ジョーン(ローラ・リニー)は、逆に今注目を集める新進作家。作家夫婦の二人には、16歳のウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)と12歳のフランク(オーウェン・クライン)の二人の息子がいた。かつて仲の良かった家族は、夫婦の関係が壊れ、離婚することになる。息子たちは、夫婦の共同監護という形の下で、父の家と母の家を行ったり来たりする生活になる。



 主役の作家夫婦を演じるのは、ジェフ・ダニエルズとローラ・リニーです。新旧の作家と言っても良い二人は、かつての蜜月時代を過ぎ、今や犬猿の仲に近くなり、離婚します。離婚のことを息子たちに言った時に、息子は自分の本当の思いを告げることが出来ません。 

 息子たちは16歳と12歳。両親ふたりで親権を分けあう共同監護という形で、一週間のうちに、何曜日と何曜日は父の家。何曜日と何曜日は母の家、と行ったり来たりの毎日を過ごすことになるのです。いやはや……。考えるだけで滅入る話です。

 それでも、兄の方は比較的冷静に受け止めていました。作家として脚光を浴びた父を尊敬する兄ウォルトはどちらかと言えば父派。弟のフランクは、あまり父とうまく行かず、母派です。ウォルトには、『ソーシャル・ネットワーク』で脚光を浴びたジェシー・アインゼンバーグが扮しています。

 ジェフ・ダニエルズとローラ・リニーの夫婦が、とにかくとんでもないのです。ジェフ・ダニエルズは、人にとって何より知的であることが大事という人間です。自分が作家として難しいことを書いてきただけに、同類の人でなければ付き合いません。こんな人と同居するのは、さぞかし大変なことでしょう。

 しかしながら、妻のローラ・リニーは、それに耐えるような女性ではありませんでした。彼女が選んだ道は不倫。

 離婚の非は寧ろ妻側にあるのですが、色々な要因から、共に親権を持つことになるのです。ふたりはそれで良くても、子供たちには溜まったものではありません。早速、弟息子は問題を起こすようになります。これがとんでもなくて、生理的にちょっと……。そして、冷静で優等生の兄も、心にストレスを溜めていくのでした。

 遠慮など一切なく本音が飛び交う映画です。家族の絆なんてあったのかしら。夫婦に愛情はあったのかしら。と、まあ、疑問ばかりが心に浮かびます。80年代の話なのですが、アメリカの家族の変わらぬ現状を捉えた作品です。重苦しい話ではありますが、そのぶっ飛んだところが逆に笑えて、共感するところもあります。ミニシアター系の映画がお好きな方なら、話もキャストも楽しめるのではないでしょうか。


トレイラーです。




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