Quantcast
Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3696

対岸の火事じゃない

$
0
0

 パリのテロ事件のニュースから目が離せないでいます。次々と明らかにされていく真相や、犠牲者を悼む街の人々が捧げる花束に、つい涙ぐんでしまいます。

 しかし、今回のことで気になったのが日本の報道体制です。

 事件が起きてから、ずっとBBCを見ていましたが、イギリスの報道局であるにも関わらず、特別編成で終日テロ事件のニュースを流し続けていました。

 CNNの無料視聴期間に申し込み、テロの日の夜にはCNNにチャンネルを変えましたが、CNNも、全ての通常報道をやめて、終日テロニュースを流し続けています。パリ在住の特派員、また沢山のキャスターがパリに飛んで、すべて実況でニュースを流し続けています。G20のニュースさえもが、ごくたまに挟まれるだけです。

 ところが、テロ当日に日本のテレビ局のニュースを見ようとしても、ニュースの時間に少し報道するだけで、特別態勢など全くないどころか、トップニュースではあるものの、時間延長をするでもなく、ニュースの一環という扱いでした。某国営放送ぐらいは、と思って、CNNからチャンネルを替えてみても、某アイドルのステージを流していまして……。

 今回のテロは、フランスでは第二次世界大戦以来の惨事です。アメリカの9.11に並ぶぐらいの衝撃として世界では受けとめられているようです。CNNは、3日目に入った月曜日にも、やはり特別態勢で、24時間ずっとテロのニュースを現地から流しています。助かった人の証言もありましたし、追悼にやってきたフランス人、そして、ISISに拘束されていたフランス人ジャーナリストの証言さえも生で報道していました。

 日本との、この温度差は何なのでしょう。

 「これはテロではない。戦争だ」という言葉も聞こえてきます。実際に、フランスのISIS拠点とされる場所への空爆もあり、報復が報復を呼ぶ泥沼状態に陥りそうな恐怖に、私は震えています。有志連合対イスラム過激派の、第三次世界大戦が始まるかもしれない、という考えが、冗談ではなく、頭に浮かぶのです。

 パリでの出来事は、対岸の火事なのでしょうか。これだけ、グローバル化している中で、日本だけが平穏でいられる保証があるのでしょうか。日本も共に考えていかねばならない、そして水際で食い止める努力をし続けなければならない深刻な問題だと思うのです。

 情報を知りたい人は、ネットで見ればいい、CNNを見ればいい、という意見もあるかもしれません。でも、全ての人がネットをしているわけではないのです。テレビのニュースで世界情勢を知るという方は今でも多いでしょう。情報弱者には、この事件の持つ深刻さが伝わらない。それでいいのでしょうか。

 報道各局には、考えて貰いたいです。

 フランスには、日本人も沢山います。旅行客も沢山行きます。日本にも沢山のフランス人が住んでいます。実に身近な地なのです。

 そして、いつ日本に降りかからないとも限らない。何があったのか、を日本人はもっと知る権利があるのではないでしょうか。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3696

Trending Articles