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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『女刑事キャグニー&レイシー』

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 1982年~88年にアメリカで放映されたドラマです。エミー賞を取りまくって、本国では大変な人気があり、本シリーズ終了後も、続編が3本製作されました。


 私の大好きな、とても愛したドラマで、毎週深夜の放映を、大変楽しみに見ておりました。文句のつけようのない素晴らしいドラマでした。


 ニューヨークの警察に勤務するクリス・キャグニーとメリー・ベス・レイシーはコンビを組む中年女性刑事。夫と子供たちに囲まれる主婦刑事のレイシーと独身生活を謳歌するキャグニー。2人は性格も違うが、街にはびこる犯罪を解決するために体を張って毎日奮闘します。

 刑事物のドラマは数々ありますが、中年の女性刑事2人が主人公というのが新鮮でした。メリー・ベスは生活に追われた主婦刑事だし、クリスはおしゃれな独身で、キャリア女性の花のような生活を送りつつも実は生活にも男性付き合いにも疲れている。全然スーパーウーマンっぽくなくて、生活に疲れている2人っていうところが良いですね。ただクリスのカジュアルだけど粋で素敵なファッションはいつも目の保養になりましたね。キャリアウーマンっぽくブラウスやコートの襟を立てたスタイルに憧れて、せっせと真似をしたものです(笑)。

 警察の同僚の面々もバラエティに富んでいました。いつも怒鳴っている署長のサミュエル警部、筋肉マンのイスベッキと同僚の常識派ペトリ、クリスにほのかな恋心を寄せていたニューマンなどなど。それからメリー・ベスの包容力あふれる(性格も体格も)夫のハービー、娘に夢を託す元警察官のクリスの父チャーリーなど、ごくそのへんの人たちが織りなす人間模様のハーモニーは毎回起こる事件と並行するメインストーリーになっていました。

 この作品はまた脚本が大変素晴らしかったですね。不法入国、麻薬、殺人。刑事ですから扱う事件は多種多様で、話題には事欠きませんが、その裏にある社会や人間関係のあやを見事に表現しつくす練りに練られた脚本。刑事と言えども万能ではなく、つい悪魔に魅入られてしまう姿さえ描ききる冴えた筆致。アクションがメインとなることが多い刑事ドラマでは異色とも言えるストーリー展開が逆に快かったです。

 驚いたのが一人暮らしのキャグニーのアパート。ドアの鍵が2つ、3つに閂まで。全部で4つぐらいはがちゃがちゃ鍵をかけまくるわけです。ニューヨークってそんなに怖いわけね、と話には聞いていてもこうして毎回画面で見るとヒシヒシと実感が湧きました。

 主演の2人、メリー・ベス・レーシー役のタイン・デーリーとクリス・キャグニー役のシャロン・グレスは彼女たちの女優キャリアでも最上の時をこのドラマで迎えました。テレビのアカデミー賞と言われるエミー賞の主演女優賞を2人で交互に取り合って、数年間他の女優を寄せ付けませんでした。

 派手さはないけれど、とにかく魅力的なキャストによる大人の人間ドラマ。涙も笑いも中年女性の哀愁も総てひっくるめて楽しめる大変上質のドラマでした。

 DVD発売を待ち望んでいるのですが、日本では全然そんな噂さえありません。アメリカでの人気は凄かったんだけれど、日本ではマイナーだったのかな。悲しいです。アメリカ版でコンプリートボックスが出ているのですが、お値段が高い。とにかく高い。いや、コンプリートであることを考えれば安いのですが、それでも高い。仮に清水の舞台から飛び降りることを覚悟したとしても、勿論セリフは英語です。どうやって、理解しろと……ガーン。無理、無理、私にはわかるはずがないからあきらめろ、と自分に言い聞かせながらも、それでも喉が手が出ているのです。どうしたら良いでしょう!?


 毎日見ていても飽きないオープニングです。音楽はビル・コンティ。軽快なテーマが耳に快いです。





 





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