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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』

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アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵 [DVD]/ハピネット・ピクチャーズ

¥4,104
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MON PETIT DOIGT MA DIT...
2005年フランス映画 カラー 105分
監督 パスカル・トマ
出演 カトリーヌ・フロ アンドレ・デュソリエ ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド ヴァレリー・カプリスキー ローラン・テルジェフ


 フランスの田舎に、素敵な居を構え、優雅で平和な生活を送るベリゼール(アンドレ・デュソリエ)とプリュダンス(カトリーヌ・フロ)のベレズフォルド夫妻。妻のプリュダンスは、若い頃と変わらず、今も好奇心旺盛だった。ある日、ふたりはベリゼールの伯母が入っている老人ホームへ伯母に会いに行く。そこで、プリュダンスは、謎の老婦人マダム・エヴァンジェリスタと出会う。マダムは、謎の言葉をプリュダンスに投げかける。伯母が亡くなり、ホームへ遺品整理にやってきたプリュダンスは、ローズが伯母にくれたという風景画を見て、デジャブに駆られる。そこには、いつかどこかで見たような記憶がある家が描かれていたのだ。気になって仕方がないプリュダンスは、謎の家を求めて旅に出るが……。



 アガサ・クリスティーの『親指のうずき』を、フランスで映画化したものです。『親指のうずき』は、トミーとタペンスという夫婦探偵もの。ポワロやミス・マープルのように知名度は高くありませんが、私は、このおしどり探偵トミーとタペンスものが大好きなのです。今回、フランスでの映画化ということで、どうなることかと思いましたが、素敵な作品に仕上がっています。


 若い頃に散々冒険をしたトミーとタペンスも、田舎の家で、ゆっくり過ごす年代に入りました。トミーじゃなくてベリゼールの髪の毛も真っ白。この熟年のトミー役には、アンドレ・デュソリエが扮しています。彼のことは、80年代から好きだったので、素敵に年を取ってくれて嬉しいです。妻のタペンスじゃなくてプリュダンスには、カトリーヌ・フロが扮しています。彼女が、生き生きしていてとっても素敵なのです。フランスのマダムらしく、服もお洒落。何でも、本家イギリスのトミーとタペンスは、熟年期に入って、二人の仲がよろしくなく、タペンスがお酒に走るなどという作品もあるらしいですが、フランス版のふたりは、今でもラブラブで、見ているこちらも嬉しくなってしまいます。


 でも、タペンス、じゃなくて、プリュダンスの探索心と冒険心は、年齢と共に冷めるようなものではありませんでした。いつかどこかで見た絵と、マダム・エヴァンジェリスタの謎を追って、彼女はひとりで飛び出してしまうのです。かなり危なっかしいのですが、それがあってこそのプリュダンス。あの家を探し、見知らぬ村の人々と出会い、それらの話を繋ぎ合わせていく……。『親指のうずき』は、バラバラになったピースを集めていくのが面白い話です。

 プリュダンスにいつも振り回されている、でも彼女を深く愛している夫のベリゼールの優しさもとっても素敵。

 そして、マダム・エヴァンジェリスタ役には、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドが扮しています。『1000日のアン』『まぼろしの市街戦』などで、美しかった彼女。役柄もあって、真っ白な髪を振り回す老女を演じていますが、きちんとしたらきっとまだまだ綺麗でしょう。

 素敵なキャストに嬉しくなる、お洒落な映画です。


 トレイラーです。






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