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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『オリバー!』

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オリバー! [Blu-ray]/マーク・レスター,ジャック・ワイルド

¥2,571
Amazon.co.jp

OLIVER!
1968年イギリス映画 カラー148分
監督 キャロル・リード
出演 ロン・ムーディ オリバー・リード シャニ・ウォリス マーク・レスター ジャック・ワイルド
音楽 ジョン・グリーン ライオネル・バート


 チャールズ・ディケンズの『オリバー・ツイスト』は既に映画化されていますが、この映画はそれをミュージカルにしたものです。舞台でヒットしたミュージカルを映画化しました。

 監督は、名匠キャロル・リード。68年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞などを受賞しました。

 孤児施設育ちのオリバーは、少年たちの代表として、食事のお代りを下さい、と言ったことを咎められて、施設から働きに出されます。働き口でも苦労続き、遂に彼は、ロンドンへ一旗上げに行くことにします。ロンドンの下町で出会ったのが、ドジャー。明るく親切な少年ドジャーに連れられてやってきたのがフェイギンのところでした。そこには、ドジャーはじめ沢山の少年たちが暮らしていました。実は、フェイギンと少年たちの仕事は、スリ。少年たちが街中で財布などをすり、フェイギン親方に渡すのです。フェイギンが稼ぎを渡す元締めのビルは、非情に残酷な男。ビルと一緒に住んでいるナンシーは、ひたすらビルのことを愛しています。ドジャーと出かけた初仕事で、オリバーは思わぬ出来事に遭遇するのです……。

 60年代後半といえば、古き佳きミュージカルがかなり衰退してきた時期です。そこへ登場したこの映画は、昔ながらの清く正しいミュージカル。お金のかかったセット。沢山の出演者。群舞。歌。ストーリーも、ディケンズの世界の名作をベースにしているのですから、間違いのないものです。そして、監督がキャロル・リード。ミュージカルの監督には、いささか驚きますが、巨匠らしい豪華なところはあくまでも豪華に、そして下町の風景は汚く、切なく、余すところなく描いていく力は、さすがです。

 スリの親方フェイギンには、ロン・ムーディ。怪しげな風貌で、お金が大好きなフェイギンの存在感は抜群で、金の亡者ぶりだけではなく、笑いもふりまいてくれます。

 悪の元締めビル役は、オリヴァー・リード。キャロル・リード監督の甥である彼ですが、ビルの憎たらしさは最高!少年たちへも、そしてナンシーへの扱いの粗暴さも酷いもので、共感する余地など全くない残酷さが、スパイスとなっています。

 そして、この映画の真の主人公である子役たち。オリヴァー役のマーク・レスターはブレイク前でしたが、可愛さが爆発です。おとなしさや、頼りなさがいっぱいで、ナンシーでなくても、かばってあげたくなる存在。本当に可愛かったですね。

 しかし、そのマーク・レスターを喰ってしまっていたのが、ちょっと年上のドジャー役のジャック・ワイルド。子供ながらスリのベテランで、鮮やかな手口で、毎日の食い扶持を稼いでいます。悲壮感などまるっきりなし。明るく楽しく世の中を生きていて、見ず知らずのオリバーにも親切な、良い奴です。この映画に於けるジャック・ワイルドは素晴らしいですね。惜しくも受賞は逃しましたが、この年のアカデミー助演男優賞にノミネートされました。

 思わず歌いだしたくなるような楽しい歌の数々。『オリバー・ツイスト』は、本来は明るい話などではなく、この映画でもハラハラするようなシーンや、切ないシーン、残酷なシーンも出てきますが、基本的にはミュージカルらしく子供でも楽しめるような作品に仕上がっています。
 
 トレイラーです。



 良い曲が多いですが、一番元気が出るのはやはりこれ!「Consider Youself」です。





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