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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『新幹線大爆破』

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新幹線大爆破 [DVD]/高倉健,千葉真一,宇津井健

¥2,940
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 宇津井健さんの追悼映画を先日見ました。

 1975年の佐藤純弥監督の映画です。出演は、高倉健と宇津井健。二人の健さんが共演しています。他に千葉真一、山本圭。渡辺文雄、丹波哲郎、郷えい治、鈴木瑞穂、竜雷太、山内明、その他沢山の大変豪華なキャストです。志村喬御大まで登場します。

 東京から博多に向けて走行中の新幹線に、爆弾を仕掛けたという電話が入ります。爆弾は、新幹線の速度が80キロ以下になると爆発するというのです。つまり、止まったら終わり。時速を下げても終わり。しかし、博多という終点があり、ずっと走り続けるわけにはいかないのです。果たして、犯人の目的は?

 最初から犯人がわかっている構成なので書きますが、高倉健が爆破犯を演じるという変わった映画です。仲間に若い青年と山本圭。山本圭は、過激な学生運動家というのが当時らしい設定です。

 そしてその事件に対峙する国鉄(当時)の人間たち。パニックに陥る新幹線運転手千葉真一に無線で指示し、時に励まし、時に叱咤するのが宇津井健です。こちらの健さんの知的な雰囲気と、熱さと真摯さが滲み出す適役でした。宇津井健が亡くなった時に、思い出した作品の一本がこの映画でした。それぐらい、大きな印象を残す映画でした。運転手が、「人のことだと思って」のようなことを言いますが、無線の向こうで指示するしか何も出来ない苦悩が強く出ているんですよね。

 人生に挫折し、遂に犯罪に手を染める高倉健の切なさと、エリートとして勤めてきたがためにあまりに酷い決断、指示をしなければならない宇津井健。ふたりの健さんの、存在感が際立つ映画でした。

 時速を落とすと爆発すると言えば、皆さん『スピード』を思い浮かべるでしょうが、こちらの映画が元ネタ。しかも、当時夢の超特急(でしたっけ??)で、しっかりシステム管理されたことが誇りだった新幹線を舞台にしての事件は、大きな衝撃を与えたのではないでしょうか。

 多分、これだけのキャストとスケールを誇った映画ですから、鳴り物入りの公開だったんでしょうね。そして、この映画はフランスで大ヒットしたと聞きました。やはり高速の新幹線TGVの技術を誇るフランスだから、でしょうか。

 この映画を見ながら、改めて宇津井健さんのご冥福をお祈り致しました。
 
 


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