最強のふたりコレクターズ・エディション(2枚組)(初回限定仕様) [DVD]/フランソワ・クリュゼ,オマール・シー,オドレイ・フルーロ
¥3,990
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2011年の大ヒットフランス映画です。監督は、エリック・トレダノ。主演は、フランソワ・クリュゼとオマール・シー。アンヌ・ル・ニ、オドレイ・フルーロらが助演しています。
パラグライダーの事故に遭い、首から下が麻痺してしまって自力では動けない大金持ちのフィリップは、新しい介護人を募集します。やってきた沢山の介護経験者の中から、彼が選んだのは、経験が一切なく、かなり場違いなアフリカ系青年ドリス。彼の目的は、就職することではなく、不採用証明を貰って、失業手当を受給することだったのですが、何故かフィリップに気に入られて働くことになります。彼に与えられたのは、お城のような家の中の豪華な部屋と、広いバスルーム。仕事そっちのけで、のんびりバスタブに浸かる彼ですが、フィリップの介護は決して楽な仕事ではなく、当然とはいうものの、失敗ばかりを繰り返します。
半身不随の障害者と、その介護人。年齢も出自も人種も全く違うふたりが、どのようにして心を通わせていくか、という物語です。普通なら、涙の感動ものと想像出来るわけですが、この映画は全く違います。感動は間違いなくあるのですが、あくまでコメディとして作られているのですね。障害者が主人公のコメディ。非常な驚きです。
ということで、湿っぽさはかけらもありません。フィリップは、事故に遭った上に、最愛の妻を病気で失って、悲惨な身の上なのですが、ドリスはそんなことにはお構いなし。介護の経験がない代わりに、彼は何の先入観も持っていなくて、フィリップに対等の人間として接するのです。ギャグも言うし、眉をひそめそうな悪戯も平気でやってのけます。こんなこといいの?と思うようなことを、ドリスは平気で進めていくのですね。そして、フィリップは、そんなドリスをどんどん気に入っていくのです。
ドリスの出自は複雑で、スラム街で暮らす家族のことで悩んでもいます。でも、根はとにかく陽気な好青年。フィリップ宅であったクラシックのミニコンサートでも、知識がないことなど何のそので、自分の世界観を展開して、これまたフィリップの笑いを誘います。
このドリス役のオマール・シーが、とにかく明るくて、ヒップホップのノリで楽しませてくれます。おまけに、足が長いこと。フィリップ役のフランソワ・クリュゼは、動けない役を真摯に演じており、笑いを堪えているような笑顔をいつも湛えており、見ているこちらも笑顔になります。
フィリップは、凄く気さくで良い人だと思ったのですが、実はさにあらず、というところも見てのお楽しみ。
ドリスはおつきの介護人ですが、他にもフィリップのためには、沢山の人たちが介護やリハビリにあたります。このあたりは、お金持ちゆえで、フィリップ曰く、「十分な介護や手当をすれば70歳ぐらいまで生きるそうだ。お金が必要だが。そして、私にはお金がある」ということです。
フィリップの様子を見ると、至れり尽くせりの介護で、お屋敷は車椅子で存分に動き回れる広いスペースで、思いっきり恵まれています。それもこれもお金持ちだからよね。出来過ぎだわ、と言いたいところなのですが、この作品は実話なのです。本当にフィリップはお金持ちだったんですよね。だから、突っ込むことも出来ない……。
ゆえに、素直に楽しみましょう。見ているうちに、今まで考えていたことがそうではなかったのかも、という気になってきます。素敵な映画です。
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『最強のふたり』
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