1954年のアメリカ映画です。監督は、エリア・カザン。音楽は、レナード・ローゼンマン。主演のジェームズ・ディーンの鮮烈さと共に、永遠に残る名作であり、名曲です。アブラ役にジュリー・ハリス。父親役にレイモンド・マッセイ。キャシー役にジョー・ヴァン・フリート。ジョー・ヴァン・フリートの迫力ある演技は、彼女にアカデミー助演賞をもたらしました。
カリフォルニア州サリーナス。レタス栽培をする父アダムのもとで生まれ育ったアーロンとキャルは双子の兄弟。優等生で父に愛される兄のアーロンに比べて、弟キャルは父に疎まれているのではないかと思いながら育ちました。そんな時、自分を捨てた母を探し当て……。父の愛を求めるキャルの青春の旅路を描いた映画です。
先日、ジュリー・ハリスが亡くなり、追悼記事を書きましたので、彼女についてはこちらへ。http://ameblo.jp/lm002974/entry-11600372848.html?frm_src=thumb_module
原作は、ジョン・スタインベックです。スタインベックは、私の大好きな作家であり、尊敬する作家でもあります。原作は、大長編で、この映画は、終わりの方のほんの一部を映画化したものです。
この小説は、旧約聖書のカインとアベルをモチーフにした作品です。原作では、寧ろ彼らの父親アダムが中心。アダムの父親サイラスは、息子たちを育てながら、ひと財産を築きます。戦争から帰った彼は、いささか粗暴なところもある人間。息子アダムは善良な人間に育ちますが、異母弟チャールズは父親のお気に入り。そして、そこにやってきた美しいキャシーに魅せられたアダムは、彼女と結婚。アーロンとキャルが生まれるのです。
81年には、ミニシリーズが作られ、こちらは原作に沿った大河ドラマになっていました。アダムが主人公で、ティモシー・ボトムスが演じています。父親サイラスには、ウォーレン・オーツ。何しろ彼のことですから、それはもう強烈な印象を残しています。赤ちゃんの扱いに困り、酒を飲ませるところなんてショックでしたね……。でも、こんな父親でも、アダムは良い子に育つのです。しかし、身寄りのないキャシーが家にやってきたことから、運命が変わり始めます。魔性の女の代表格と言われるキャシーを、ジェーン・シーモアが演じていました。
さてさて、映画の話に戻ります。この映画が、ジェームズ・ディーンを大スターにしたことはご存じのとおりです。父の愛を求め、母を求め、傷つく繊細なキャルを演じた彼は、素晴らしかったです。映画デビュー作ではありませんでしたが(『底抜け艦隊』などに出ています)、彼の名を一躍世界に知らしめ、その後彼は3本の映画を残し、55年に突然にこの世を去りました。あまりに鮮烈な印象を映画界に残し、あまりに呆気なく去ったことで、彼の存在はより神格化されたのだと思います。
生きていれば、今82歳。クリント・イーストウッドやジーン・ハックマンより、ひとつ年下です。どんな人になっていたのでしょう……。
レナード・ローゼンマンの音楽も素晴らしいです。哀愁がこもっており、ジェームズ・ディーンの苦悩と愛がにじみ出てくるような音楽です。
この音楽には、ある思い出があります。10代のいつ頃だったか覚えがありませんが、毎年一回NHKで「映画音楽大全集」という番組がありました。色々な映画音楽を紹介しながら、視聴者投票で、映画音楽のベスト10を決めるというものです。未知の映画音楽を沢山聞くことが出来て、とても嬉しい番組でした。ただ、この番組のベスト1に選ばれるのが、毎年この『エデンの東』のテーマだったのです。間違いなく素晴らしい音楽ですし、私も好きです。でも、毎年毎年はちょっとなあ~と思ったのも事実。やっぱり色々な映画に競って欲しかったです。今思えば、ジェームズ・ディーンの組織票が入ったのかもしれませんね。
まあ、こんな思い出もこもった映画です。
カリフォルニア州サリーナスは、スタインベックの作品ではしばしば舞台になる地です。スタインベック自身が、この地の出身でした。いつか行ってみたいという憧れを持ち続けた地でした。
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『エデンの東』~テーマ
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