NHKで放映された先々週の『バタフライエフェクト』は、ハリウッドの歴史をたどるものでした。
映画を作ったのはフランスのリュミエール兄弟ですが、アメリカではトーマス・エジソンだそうです。発明王エジソンは、映画の様々な機器を作り出したそうですが、かなりの金額を要求したため、映画会社は、東海岸を脱出して、西海岸に向かい、ハリウッドが出来たのです。ハリウッドは、晴天が続き、映画を作るにも向いている気候でした。当時映画製作が盛んだったフランスやイタリアが第一次大戦に巻き込まれ、代わりにハリウッドが繁盛します。5大映画会社が隆盛を極め、映画スターへの夢を見て、各地からスターの卵がやってきます。
ただ、それまでの映画は、簡単な西部劇やコメディでした。そこに大物グリフィスが、本当の映画を作り出します。『国民の創生』です。この映画が、恐らくはハリウッド最初の大作、名作と言われるものでしょう。ただし、今見れば、非常に問題点があることは確かです。
話は、ここから、ひとりの子役スターに変わります。MGMの社長ルイス・B・メイヤーが育てた子役ジュディ・ガーランド。『オズの魔法使』で素晴らしい喉を披露して、一躍スターに躍り出ます。アカデミー賞も受賞して、ミッキー・ルーニーと共演した学園ものシリーズも当たります。ハリウッドの、「ガールネクストドア」として、ジュディの人気はどんどん高まります。しかし、一方で、メイヤーはまだ少女だったジュディにセクハラをし、覚せい剤を与え、その喉を保持し、ジュディは、段々壊れていったのです。
戦争が終わり、ハリウッドには赤狩りの嵐が吹き荒れます。当時、なんとかいう俳優委員会の会長だった(そんなお偉いさんだとは知らなかった)ロナルド・レーガンは、元共産党員、現共産党員の映画人の名前を暴露します。そんな中に、ダルトン・トランボもいたのです。彼は、拘留され、実名では脚本を書けず、別名で書いた『ローマの休日』で得たオスカーを得たのは40年後でした。
ハリウッドも、時の流れとともに、作成される映画も変わっていきます。アメリカンニューシネマの登場が一番に語られるでしょう。『タクシー・ドライバー』もそんな一本なのですが、この映画を見た犯人は、その後、本当に当時のレーガン大統領を暗殺しようとして銃撃します。その時、一番にレーガンを守って車に押し込んだSPがいました。実は、この人は、30年代に少年の頃、レーガン主演のSPをテーマにした映画を見て、SPになることを夢見て実現し、本当にレーガンを暗殺から救ったのでした。
今、ハリウッドだけではなく、世界中で吹き荒れているのが、#Me too運動。今まで、セクハラを受けてきた数多くの女性映画人が声を挙げ始めたのです。私も。私も。ハリウッドは、典型的な男性社会でした。男性から見るセクシーさがなければ、女性映画人、特に女優は、やっていけなかったのです。ハリウッドで始まった#Me too運動は、たちまち世界に広まりました。大物でセクハラの張本人ワインスタインも逮捕されました。
これから、ハリウッドは、ますます多様性を目指して広がっていくのでしょう。ただ、いくら人種平等を貫くとは言っても、歴史を曲げるようなことはして欲しくないと思います。