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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『シェルブールの雨傘』~テーマ

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 1963年のフランス映画です。これまた、監督はジャック・ドゥミー。音楽はミシェル・ルグランの黄金コンビ。大女優カトリーヌ・ドヌーブの出世作でもあります。

 この映画は、全編が歌という画期的な作品です。ミュージカルというより、オペラに近いかもしれません。とにかく、音楽が素晴らしいのです。このテーマ曲はあまりに有名ですよね。

 港町シェルブールで母と共に暮らす傘屋の娘ジュヌヴィエーブには、ギイという恋人がいます。若い二人は、激しい愛で結ばれますが、やがてギイはアルジェリア戦争へ…。戦争に翻弄される若い男女の愛の物語です。

 とにかく、オープニングが素敵。色とりどりの傘がくるくる回るシーン。ジュヌヴィエーブの部屋の壁紙や、色とりどりの洋服。道行く人たちの姿など、鮮やかな色彩に彩られた映画なのです。

 そして、やはり特筆すべきは、ジュヌヴィエーブを演じたカトリーヌ・ドヌーブの瑞々しい、でもあの若さにして既にたおやかさを秘めているような目を見張る美しさ。舞台も素敵なら、ヒロインも素晴らしい。これで名作にならないわけがありません。

 相手役のギイには、『刑事』に出ていたニーノ・カステルヌオーヴォ。ギイが戦争に行くシーンで、二人は駅でこの歌を歌います。今度いつ会えるかわからない恋人同士。いや、生きて会えるかどうかさえわからない。手を放したくない。でも、列車は出ていく…。♪モナム、ジュテーム、ジュテーム……。思い出しただけで涙が出ます。ただし、ドヌーブの歌は、ダニエル・リカーリという歌手の吹き替えです。のちに、「ふたりの天使」という歌が大ヒットしたそうです。


 一人娘の幸せを強く願う母。そして出現するお金持ちの男性をマルク・ミシェルが演じていますが、この人は、またもやとっても良い人です。誰も悪い人はいないんです。みんなの考えは納得できる。誰も悪くないのに、運命はすれ違います。運命とはそういうものなのでしょうか。

 雪の降るガソリンスタンド。最後のシーンは……喉まで出かかっていますが、とにかく心にぐっと来るラストシーンとだけ言っておきましょう。

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