1966年のフランス映画です。
監督ジャック・ドゥミー。音楽はミシェル・ルグランの名コンビによるミュージカル映画です。
以下は、また以前書いたレビューでして、手抜にて恐縮です。
南仏ロシュフォールに住む双子の美人姉妹ソランジュとデルフィヌは、パリに行くことを願う夢みる娘たちだった。ソランジュは作曲家志望、デルフィヌはバレーをしていて姉妹で子供たちのためのバレー教室を開いていた。そんな時に街から街へと旅するイベント屋のエチエンヌたちがやってきた。彼は姉妹が祭りで踊ってくれたら2人をパリへ連れて行くと言う。花の都を夢みて華やぐ姉妹。しかし、彼女たちは一方でまた運命の恋人の出現をも待っていたのだった・・・。
とにかく冒頭から華やかな色彩が画面を彩ります。街にやってきたジョージ・チャキリスをボスとするイベント屋さん。そのメンバーたちの華やかな衣装と力強い群舞。そして、カトリーヌ・ドヌーブとフランソワーズ・ドルレアックが歌い踊る「双子の姉妹」の歌。いかにも60年代風の原色ミニのドレスが可愛く(時にはちょっと度肝を抜くけれど)、美人姉妹だけに見ていて楽しいです。このあらゆるアレンジで歌われる「双子の姉妹」の歌はテレビの自動車のCMにも使われたのできっと聞いたことがあるのではないでしょうか。
この姉妹役を演じるカトリーヌ・ドヌーブとフランソワーズ・ドルレアックは、双子ではありませんが、実生活での本当の姉妹です。ドヌーブは皆さんご存じの通りフランスを代表する大女優に成長しました。お姉さんのフランソワーズ・ドルレアックは、実は妹より魅力的と言われ将来を嘱望されたのですが、何とこの翌年に自動車事故で若き命を散らせました。まさしく短すぎた花の命でした。そんな経緯を知っていると、どうしてもお姉さんのソランジュに肩入れしたくなってくる映画なのです。しかし、本当にきれいな姉妹です。「赤毛のアン」も真っ青になりそうな、花をいっぱい飾った帽子はちょっと笑えてもきますが、でも美人がかぶると何故か許されるから不思議。お祭りで歌い踊るセクシーなピッタリしたロングドレスに身を包んだ2人はまさしく美しさで輝いています。
脇を彩る演技陣もフランスとアメリカからスター集結で大変贅沢です。姉妹の母親役には往年の大女優ダニエル・ダリューが扮していて、カフェのマダム役なんですが、彼女がまた結構可愛さを出しています。このダリューのかつて婚約していたミシェル・ピッコリの男の純情も可愛い。ダリューが結婚を拒んだ理由が、ダム氏と結婚してダム夫人になるのが嫌だというのが訳のわからない理由に聞こえますが、原語を聞けば「ああ、そうだ!」と納得してしまうのです。
姉妹たちの夢の、まだ見ぬ恋人に扮するのはジーン・ケリーとジャック・ペラン。若手の絵描きでまだ見ぬ恋人を描いているジャック・ペランの若いこと。これまた男の純情を捧げる様にホロリ。ジーン・ケリーはアメリカの作曲家なんですが、登場の仕方がまさしくジーン・ケリー!これはミュージカル好きの方なら見ていただけば納得して頂けると思います。それに、踊りもやっぱりジーン・ケリー。そう言えば、群舞のシーンでもジョージ・チャキリスはやっぱりジョージ・チャキリスの踊りをしていました。これはフランスとアメリカミュージカルの見事な融合というべきでしょうか?
止まっている人々が踊り出すシーン。街中を人々が踊り歩いても何故か不思議を感じさせないシーン。姉妹の可愛さと、アメリカミュージカルスターの大御所ぶりと、フランス映画大スターの共演と、とにかく話題が尽きない素敵な映画なのです。アメリカミュージカルだけがミュージカルではありません。ミュージカルが好きな人なら是非見て頂きたい一本です。
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『ロシュフォールの恋人たち』~双子の姉妹の歌
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