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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『拳銃王』

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拳銃王 [DVD]/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥1,395
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明日13時からのNHKBSプレミアムにて放映があります。グレゴリー・ペックが若く、格好良い!

 


THE GUNFIGHTER

1954年アメリカ映画 20世紀FOX 白黒 84分

監督 ヘンリー・キング

出演 グレゴリー・ペック ヘレン・ウェスコット ミラード・ミッチェル ジーン・パーカー カール・マルデン リチャード・ジャッケル


 

早撃ちとして有名なジミー・リンゴ(グレゴリー・ペック)が、ある小さな町を訪れる。そこは、親友のマーク(ミラード・ミッチェル)が保安官を務める平和な町だった。ジミーは、名前を変えて教師をしている妻ペギー(ヘレン・ウェスコット)に一目会いたかったのだ。リンゴが酒場にいると、小学校にいるはずの男の子たちや、沢山の男たちが、リンゴを見に訪れ、大騒ぎになる。マークは、町を出るように勧めるが、リンゴはどうしても妻に会いたがる。知り合いの酒場の歌手モリー(ジミー・パーカー)に、妻に伝言を頼む。この町に来る前に、止む無く殺した男(リチャード・ジャッケル)の兄たち3人が、リンゴを追ってくるのは時間の問題だった。それでも、リンゴは妻に会いたい気持ちをあきらめきれない。兄たちがやってくる時間が迫ってくる……。



1880年代の西部。ワイアット・アープやワイルド・ビル・ヒコックなど、有名な早撃ちガンマンが沢山いる中で、最も早いと言われたのがジミー・リンゴでした。でも、そんな噂がたってしまったので、彼は大変な人生を歩まざるを得なくなります。立ち寄った酒場では、血気はやる若者に勝負を挑まれ、殺さざるを得ませんでした。そうしなければ、自分が殺されるからです。ところが、若者の兄3人は、その敵を取ろうとリンゴを追います。彼らから逃げるリンゴは、とある町に寄ります。そこで、保安官をしていたのは、旧友のマークでした。同じく、早撃ちガンマンだったマークは、その道から足を洗い、今は銃を使わずに、町を平和に保っています。ジミーは、妻にさえ会えればすぐに立ち去る、とマークに約束します。ところが、大衆は有名人がやってきたことで、沸き立ち、リンゴがいる酒場の前で大騒ぎ。リンゴの気持ちはいら立ちます。


 

そして、この町でもやはり血気盛んな若者が、リンゴを倒して自分の名を高めたいと、やたらリンゴに絡んできます。どの町に行っても同じ。早撃ちガンマンの宿命なのです。さらには、息子がリンゴを殺したと信じ、リンゴが酒場から出てくる瞬間を、通りの窓からライフルで狙っている男もいます。リンゴの周りには、敵ばかりなのです。


 

沢山の人を殺した早撃ちガンマンですから、さぞかしリンゴは恐ろしそうな男かと思えば、全然そうではないんですね。いつものグレゴリー・ペックをもうちょっと渋く、寡黙にした感じです。リンゴを追い出せと、保安官事務所に訪れたご婦人たちの中で話しても、目立つわけでもなく、ごく普通に溶け込んでしまう。ごく、普通の男なんですね。もし最初に誰かに絡まれて銃を抜いていなければ、早撃ちガンマンの噂を立てられなければ、彼は妻や息子と一緒に平和に暮らしていたかもしれないのです。


 

この作品は、出演者がとても良いです。拳銃王に扮するグレゴリー・ペックは、全然それらしくなくて、それが逆にいいと思います。気の良い酒場の店主カール・マルデンも特徴を出しているし、何と言っても保安官を演じるミラード・ミッチェルの渋さが良いです。本来ならすぐ追い払うのがいいであろうリンゴを、友情からしばらく共に過ごし、妻と会わせてあげようと奮闘します。それでいて、粋がった若造には、厳しく対処します。


 

西部劇としては、やや地味かもしれませんが、早撃ちガンマンとなったものの宿命を、これほど明確に描いた映画はそうはないと思います。時間との闘いも、ドキドキハラハラさせられ、二重の面白さを味わうことが出来ます。


 

トレイラーです。





 


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