Quantcast
Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3696

『おしゃれ泥棒』

$
0
0
おしゃれ泥棒 [DVD]/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥1,944
Amazon.co.jp


HOW TO STEAL A MILLION

1966年アメリカ映画 カラー 126分

監督 ウィリアム・ワイラー

出演 オードリー・ヘプバーン ピーター・オトゥール イーライ・ウォラック ヒュー・グリフィス シャルル・ボワイエ マルセル・ダリオ



ニコル・ボネ(オードリー・ヘプバーン)の父シャルル・ボネ(ヒュー・グリフィス)は、贋作画家。贋作を売って稼いでお金持ちの生活をしている。ある日、ラファイエット博物館に、祖父が作った贋作のチェリーニのヴィーナスを貸して展示することになる。ニコルは猛反対するが、シャルルの気は変わらない。展示会でヴィーナスを見たアメリカの大金持ちデイビス・リーランド(イーライ・ウォラック)は、ヴィーナスに魅了される。ボネがヴィーナスを売らないことを知ると、ニコルに近づく。父のいない夜に、絵を盗みにやってきた泥棒シモン・デルモット(ピーター・オトゥール)を、ニコルは撃ってしまう。怪我は軽かったが、二人の間に腐れ縁が出来る。チェリーニのヴィーナスにかかった保険は、100万ドル。しかし、ヴィーナスが専門家に科学鑑定されることを知り、ニコルは、シモンにチェリーニのヴィーナスを盗みだすように頼むのだが……。



オードリーは、パリジェンヌが似合います。ウィリアム・ワイラー監督作品3度目の出演。パリを舞台にしたロマンティックコメディですが、邦題通り、何から何まで「おしゃれ」なのです。勿論、オードリーのファッションはいつものようにお洒落だし、ちょっとした仕草もお洒落。共演のピーター・オトゥールもお洒落だし、オードリーの大きな家もお洒落。そして、美術館もお洒落。とても粋な映画です。



オードリー扮するニコルの父シャルルは、贋作画家。あの大きなお屋敷に、執事さんまでいるところを見ると、絵を売って、相当儲けているようです。それを知っているのはニコルだけです。シャルルのアトリエが、とんでもないところにあるのも笑えます。でも、ニコルはいつか真実がバレないか、ハラハラしています。それなのに、事もあろうに、祖父が作ったヴィーナスを、展示会に貸すというのでニコルは阻止に必死になります。この時の、オードリーは可愛いですね。



オードリーの家に真夜中に泥棒に入ったのが、ピーター・オトゥール。彼をイメージする時に思い出す映画とは違って、この映画では、小粋な紳士を演じています。泥棒なんですが、紳士なんです。他の映画よりも、この映画のオトゥールが私は好きです。お洒落な役だし、額に皴寄せなくていいし、彼がこんな役のオファーを受けたなんて嬉しくなります。



というわけで、贋作のヴィーナスを盗むために、二人は色々作戦を立てるのですが……。



父親役のヒュー・グリフィスは、かなりエキセントリックです。贋作とはいえ、芸術家。19世紀のキャンバスに、ゴッホの時代の埃まで用意するプロフェッショナル。このとぼけたパパさんが、良いアクセントになっているんですね。



それから、アメリカ人の大金持ちイーライ・ウォラック。悪役のイメージが強い人ですが、コメディでも良い味を見せています。一目で恋した相手は、ヴィーナス。もうそれからは、ヴィーナスが欲しくて欲しくて仕方なくなるのです。いますよね、お金持ちならこういう人も。



さらには、画商役でシャルル・ボワイエがちょっとだけ出演。マルセル・ダリオも最後に出演と、友情出演じゃないかというぐらい、豪華な配役です。



音楽もお洒落。出ている人たちもお洒落。屋敷も美術館も、お話も何もかもお洒落。磁石の使い方には、参りました。ウィリアム・ワイラーの愛すべき佳品です。



トレイラーです。









Viewing all articles
Browse latest Browse all 3696

Trending Articles