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ALL ABOUT EVE
1950年アメリカ映画 20世紀フォックス 白黒 138分
監督 ジョセフ・L・マンキーウィッツ
出演 ベティ・デイビス アン・バクスター ジョージ・サンダース セレステ・ホルム ゲイリー・メリル ヒュー・マーロー セルマ・リッター バーバラ・ベイツ
新人女優イヴ・ハリントン(アン・バクスター)が、アメリカ演劇界の栄えある賞に輝いた。沢山の人に謝辞を述べるイヴ。そこに同席する人たちは、8か月前を思い出していた。8か月前、劇作家リチャーズ(ヒュー・マーロー)の妻カレン(セレステ・ホルム)は、劇場の出入り口でイヴから声をかけられる。イヴは、大女優マーゴ・チャニング(ベティ・デイビス)の大ファンで、毎日劇場に見に来ていると言うのだ。マーゴの親友であるカレンは、イヴをマーゴに会わせてやる。イヴを気に入ったマーゴは、イヴを雇うことにする。イヴは、頭が良く、謙虚で、気が利く文句なしの女性だった。皆がイヴを気に入り、イヴに価値を見出していく。そんな中でマーゴは……。
1950年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、助演男優賞(ジョージ・サンダース)などに輝いた大傑作です。主演女優賞には、ベティ・デイビスとアン・バクスターのふたりがノミネートされ、助演女優賞にセレステ・ホルムとセルマ・リッターのふたりがノミネートされました。このふたつの賞は、票が割れて損をしたかもしれませんね。
最初は、雨の中でみすぼらしいレインコートを着て、帽子をかぶっていたイヴ。毛皮を着たいかにも上流婦人というカレンは、彼女を可哀想に思って、舞台のヒロインを務める大女優のマーゴに会わせてあげます。夢見心地のイヴは、問われるままに、自分の過去を語っていきます。そして、どれほどマーゴに心酔しているかを語るのです。そんなイヴを気に入ったマーゴは、イヴを秘書として雇います。
秘書となってからのイヴは、大変身。最初のおどおどした女性とはすっかり変わって、美人で聡明で有能な秘書として手腕を発揮します。洋服も素敵になります。でも、謙虚な姿勢は変わらず、皆がイヴのことを好きになります。
この映画は、マーゴとイヴの他には、劇作家リチャーズとその妻カレン、マーゴの恋人で舞台監督のビル・サンプソン(ゲイリー・メリル)と、評論家のアディソン・ドゥイット(ジョージ・サンダース)の出演場面でほぼ占められています。あと、マーゴの付き人セルマ・リッターのパンチの効いた演技もいいですね。みんなが好演していると思います。名監督に名脚本(監督自らが書いています)、演技派の俳優たちが集まれば、これだけ素晴らしい映画が出来たという見本のような作品です。
どうやってひとつの舞台劇が出来るのか、演劇業界の裏側が鮮やかに描かれています。でも、結局、成否を握るのはアディソン・ドゥイット。舞台の初日の翌朝一番に新聞を買いに走るシーンがよく映画でも描かれますが、舞台評論家の意見ひとつに左右されてしまうのです。一番恐ろしい登場人物と感じました。
大物女優役のベティ・デイビスは、こういう役ではさすがに貫禄が増します。わがままで、叫んだり怒ったり忙しい人で、友達にはなりたくない人です。アン・バクスターは、一世一代の体当たり演技で、どんどん変わっていくイヴを見事に演じています。無名の頃のマリリン・モンローも出ています。
そして、ラスト。何というラストでしょう。何と、恐ろしい。何と綺麗な。
大傑作です。生きている間に、是非ご覧ください。
トレイラーです。マリリン・モンローが大きく扱われていますが、映画では端役です。