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MAURICE
1987年イギリス映画 カラー 140分
監督 ジェームズ・アイヴォリー
出演 ジェームズ・ウィルビー ヒュー・グラント ルパート・グレイヴス デンホルム・エリオット サイモン・キャロウ ビリー・ホワイトロー ベン・キングズレー
1909年秋、ケンブリッジ大学へ進学した青年モーリス・ホール(ジェームズ・ウィルビー)は、上流階級のクライブ・ダラム(ヒュー・グラント)という男と出会う。クライブは、モーリスに愛を告白し、ふたりは愛し合うようになる。しかし、クライブは卒業を迎え、自らの地位や家柄を守るために、モーリスとの愛人関係を清算しようとするが……。
1980年代後半、同性愛をテーマにした作品がいくつか作られました。この映画は、その代表作です。これらの映画に共通しているのは、大抵、寄宿舎、美青年。イギリス以外の映画でも、そうだった気がします。
モーリスの家は、中流階級の上ぐらいなのでしょう。モーリスは、せっかくケンブリッジに入っておきながら、授業をさぼって、謝罪文を書かずに、休学処分になります。その後、株売買の会社を立ち上げ、自ら働きます。クライブの方は、根っからのイギリスの上流階級。ペンダースレーという広大な領地を所有し、モーリスも何度も遊びに行きます。
最初、モーリスにアプローチしたのはクライブでした。それまで、モーリスには自分が同性愛者という認識は全くなかったと思います。クライブは、鋭い嗅覚でそれを知ったのでしょうか。クライブからの激しい愛を、モーリスは受け止めるようになり、ふたりは深く愛し合うようになります。互いの家を訪問しあう仲になり、クライブの屋敷でも、ふたりは情事に及びます。ビデオのジャケットになっていたような気がしますが、ペンダースレーの草ぱっらの上で寝転がるふたりが好きでした。モーリスは、白いシャツに白いパンツ。モーリスは白い服が似合います。
しかし、大学時代を終え、クライブは変わってしまいます。いえ、変わらざるを得なかったのです。ペンダースレーの当主という立場を守るために、彼はモーリスに、つまり同性愛そのものに別れを告げるのです。
大きなショックを受けるモーリス。それでも、モーリスとクライブの付き合いは続きます。もう愛人ではなく、親友としての付き合いが。しかし、ある日、モーリスは、アレクという青年と出会い……。
驚くのが、この時代、ゲイは犯罪だったということです。モーリスたちの学友リズリー子爵が事件を起こしますが、それだけの地位にいるにも関わらず、重労働を含めて懲役6か月の刑を科されます。酷いときは、死刑になったこともあるそうです。この時代、ゲイとして生きることは、地位も名声も財産もすべて失うことを示しているのです。酷ければ、命さえも。クライブがゲイであることをひたすら隠し続け、ノーマルに生きようとモーリスを捨てる気持ちもわからないではありません。でも、何も知らなかったモーリスに、同性愛というものを教えたのはクライブなんですから、ちょっと酷い気もします。
それでも、なんだかんだと事あるごとに、互いの家を訪問しあい、ほとんどふたりとも、互いの家の住人のようになってしまうのはどうしてなんでしょうね。ゲイの関係ではないけれど、二人の愛は冷めていない。モーリスは勿論のこと、クライブも。そして、モーリスの前に使用人のアレクという青年が現れます。
今、見るとみんな若いです。お肌がつやつやしています。ルパート・グレイブスは、すっかり『SHERLOCK(シャーロック)』のレストレード警部役で有名で、今も素敵ですが、こんなに若い頃は新鮮でもあります。クライブの妻アン役のフィービー・ニコルズは、どこかで見た顔だと思ったら、『ダウントン・アビー』のローズのお母さんですね。
ジェームズ・アイヴォリー監督ですから、映像美はそれは見事です。貴族の生活も細かく描写されています。今、改めて思うのは、使用人の地位の低さ。アレクに対する態度もそうですし、モーリスとクライブが部屋でふたりきりでじゃれあっているところを、メイドに見られるのですが、クライブは気にする様子もありません。彼の中で、使用人は見えない存在であるかのようです。
今見ると、このように色々考えるところもありますが、再見して良かったと思えるとても懐かしい映画でした。
ラストシーンが秀逸。
トレイラーです。