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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『M★A★S★H マッシュ』

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MASH

1970年アメリカ映画 20世紀フォックス カラー 116分

監督 ロバート・アルトマン

出演 ドナルド・サザーランド エリオット・グールド トム・スケリット ロバート・デュバル サリー・ケラーマン ジョー・アン・フラッグ ゲイリー・バーゴフ ルネ・オーベルジョノワ ジョン・シャック



朝鮮戦争の前線にある野戦病院に、人手不足からふたりの軍医が派遣されてきた。ホークアイ・ピアス(ドナルド・サザーランド)と、デューク・フォレスト(トム・スケリット)だった。明るく活気のある彼らは、以前から、この病院にいる信仰深いバーンズ少佐(ロバート・デュバル)とは気が合わなかった。さらに、胸部外科医トラッパー・ジョン・マッキンタイア(エリオット・グールド)も派遣されてくる。この新任軍医3人は、軍紀を無視してやりたい放題を始め、特に新任の“ホットリップス”・ホーリハン看護師長(サリー・ケラーマン)をからかうのに必死になってしまう……。



カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した作品です。以前見た時ほどの衝撃はなかったし、私が年を取った分保守的になったのか、眉を顰めるシーンも多かったけれど、それでも尚、この映画の価値は失われていないと感じました。


内容は、ロバート・アルトマンのやりたい放題です。特に明確なストーリーがあるわけではありません。野戦病院で、軍医たちがふざけ放題をしており、かなりやりすぎの面もあって、彼らの良識さえ疑う、と、まあそういったブラックコメディです。彼らは暇さえあれば、お酒を飲んでおり、看護師たちにちょっかいを出し、規則なんて言葉さえ知らないんじゃないかと思われます。



ただ、ここは前線。彼らは軍医。血だらけの兵士が運ばれてくるたびに、彼らは執刀し、兵士の命を救おうと必死になるのです。野戦病院で大した設備もないでしょう。手術中の停電も頻繁に起きます。それでも、彼らは使命を果たします。彼らの悪ふざけの数々の合間に、手術シーンが何度も挿入され、ここが戦場であるということを思い知らされるのです。



この映画が公開された時に、生で見ていたらどういう感想を抱いたのでしょう。当時は、ベトナム戦争の時代。もしかしたら、ベトナム戦争を舞台にしたかったのかもしれないけれど、さすがに当時は無理で、朝鮮戦争にしたのかも。無茶苦茶な人間たちが、散々野戦病院をかき回して、迷惑ばかりかけますが、明日の命さえわからない戦場で、そうでもしなければ、人間らしくいられなかったのかも。



戦争を笑い飛ばしているということで、この映画は反戦映画なのですが、見る人によって、好き嫌いは見事に分かれると思います。馬鹿にしている、と怒る方もいることでしょう。そうなっても仕方ない映画だと思います。アメリカでは大ヒットを記録し、TVドラマシリーズとなって10年以上も続きました。



主役の3人の軍医、ドナルド・サザーランド、エリオット・グールド、トム・スケリットにとっても、出世作となりました。トム・スケリットは、私が愛する3本の指に入る俳優さんですが、素敵な役をいっぱい見てからこの映画を観たので、一時は途方にくれました。それぐらい、普段の真面目な彼とはギャップのある役でした。



細部も凝っていて、ラジオ東京から放送される日本語の様々な歌が、スピーカーで大きな音で流されます。『リリー』の「ハイ、リリーハイロー」などのアメリカの歌を日本語化したものが流れたり、日本独自の歌も流れます。何度か流れる靴磨きの歌は、面白いです。



主題歌は、「Suicide is Painless」と言います。「自殺は苦しくない。人生を変えてくれる。どうするかは、自分で選べるんだ」。歌詞の内容は過激なんですが、メロディはとても綺麗です。一度聞いたら、忘れられません。



もう一度書きますが、好き嫌いが分かれる映画だと思います。でも、映画史に残る作品であることは確かです。気に入るかどうかは、ご自分の目でお確かめください。



トレイラーです。






主題歌「Suicide is Painless」です。必聴。





 


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