7月27日、サム・シェパードが筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため、亡くなりました。享年73。
大好きな俳優でした。いや、大好きだけでは足りない、愛していた俳優さんでした。
俳優としての彼が有名かもしれませんが、彼の本業は劇作家です。オフ・ブロードウェイなどでいくつも戯曲が上演され、オビー賞を何度も受けています。そして、1979年には戯曲『埋められた子供』でピュリッツァー賞も受賞しています。そう、彼はピュリッツァー賞作家なのです。
彼を初めて見たのは、1978年の『天国の日々』。テレンス・マリック監督の伝説の映画です。日本での公開はもっと遅かったですが、この映画を観て、サム・シェパードに一目惚れしました。
ハンサムというのとは違うんですよね。知性的なのは勿論ですが、渋くてニヒル。それでいて、繊細。丁度、彼が俳優を始めたのが、この『天国の日々』の頃からで、私が映画館通いを始めたのと時を同じくしていたので、彼の映画はいくつも映画館で見ました。
最高の作品を挙げるとしたら、やはり『ライトスタッフ』でしょう。これは、アメリカのマーキュリー計画に挑戦した宇宙飛行士たちを描いた映画ですが、彼はその一員ではなく、一匹オオカミで、音速の壁に挑戦し続けたチャック・イエーガー役でした。砂漠のもうもうとした煙の中から歩いてくる彼。「テネシーワルツ」を妻役のバーバラ・ハーシーと踊る彼。とにかく、格好良かった!!この映画で、アカデミー助演男優賞にノミネートされましたが、何故、主演賞ではなかったのでしょう。
82年から2009年までパートナーとして連れ添ったジェシカ・ラングとの共演作も多かったです。『カントリー』は、当時流行った農家の主婦ものの映画ですが、サム・シェパードは駄目夫の役でした。『女優フランシス』『ロンリー・ハート』などでも共演していて、ジェシカの相手役を務めることが多く、ジェシカを支える素敵なカップルだと思いました。
『フール・フォア・ラブ』では、原作、脚本、出演全てをこなしていました。『赤ちゃんはトップレディがお好き』もありました。段々、『ブラックホーク・ダウン』や『ステルス』のような派手な映画の、軍隊の司令部長官のような役を演じるようになりました。何でこんな映画に?と思うような作品に出ても、彼が出るだけで、場面が締まりました。
知的で、大好きな、愛する俳優さんでした。73歳なんて、まだ早すぎる。これから、もっと活躍出来たでしょうに。
それでも、彼が俳優として踏み出した第一歩から、今に至るまでを見てこられたことは嬉しく思います。
安らかにお休みください。
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