追悼　マーティン・ランドー

マーティン・ランドーが、１５日、合併症のためロサンゼルスで亡くなりました。享年８９。

ニューヨークアクターズスタジオで学んだ演技派です。

１９６６年に始まった『スパイ大作戦』の、変装の名人ローラン・ハンドを演じてスターになりました。様々な作戦で、顔のマスクを作ったり、髭を生やしたり、身体が悪い役をしたり、別人物になり切るのは、今思えばさすがアクターズスタジオ仕込みの演技力だったのでしょうか。このドラマで、紅一点のシナモンを演じたバーバラ・ベインとは夫婦です。

１９７５年からは、夫婦共演でＳＦ『スペース１９９９』に主演します。

ＴＶだけではなく、映画でも活躍。まず思い出すのは、若い頃の『北北西に進路を取れ』です。ジェームズ・メイスンの腹心の部下で悪役として大活躍していました。

お年を召してきてからは、映画でブレイク。それまでも映画出演は多かったのですが、脇役が多かったです。それが、『タッカー』でゴールデングローブ賞受章。良い映画だったし、彼の演技も素晴らしかったです。その後も、『ウディ・アレンの重罪と軽罪』などで活躍。９４年、遂に『エド・ウッド』でアカデミー助演男優賞を受賞します。彼は、かつてはドラキュラ俳優として一世を風靡したベラ・ルゴシを演じました。年を取って、エド・ウッドの映画に出るようになっての珍騒動を描く、面白い映画でした。

その後も『マジェスティック』など現役で活動を続けます。最新作は、２０１５年の『手紙は憶えている』。ＤＶＤが出たので、見たいと思っていた矢先でした。

映画で活躍して、オスカーも貰ったけれど、やっぱりローラン・ハンドの印象が一番大きいのは仕方ないことでしょうか。年を取るごとにきらめき続けた、ほぼ生涯現役だった俳優人生。あっぱれです。

安らかにお休みください。