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SILENT RUNNING
1972年アメリカ映画ユニバーサル カラー 90分
監督 ダグラス・トランブル
出演 ブルース・ダーン クリフ・ポッツ ロン・リフキン ジェシー・ヴィント
地球上の植物が絶滅状態となり、わずかに残った植物が宇宙船のドームで育てられていた。再緑化計画といい、この計画に8年をかけている。しかし、ある日、地球から、計画を中止し、ドームを爆破して帰還せよ、という指令が届く。自ら沢山の木を植え、植物を育ててきた植物学者のローウェル(ブルース・ダーン)は、その指令に耐えられず……。
『2001年宇宙の旅』などでSFXを手掛けたダグラス・トランブルの初監督作品です。SFに疎い私は、この作品のSF的意義とか、トランブルならではの撮影技術については説明できません。そういった専門的なことは別にしても、この作品には心打つものがありました。
冒頭、鮮やかな花々の映像が映し出されます。まるで、植物園の熱帯雨林コーナーのようです。これは、宇宙船のドームの中に作られた再緑化計画の一角なのです。そこの汚い池で泳いでいるのが、ローウェル。彼が植物を植え、育て、管理する、ここは彼の人生の一部なのです。
他の乗組員たちが、合成の宇宙食を食べている時、自分が育てたメロンを食べながら、「これには、色も香りも味もある」と言います。他の乗組員たちが、ローウェルが自分で育てた野菜や果実を食べていることを揶揄したから、彼はそう言ったのです。
どうやら、今の地球には緑はないけれど、それなりの平和を築いているようです。地球の気温はどこに行っても24度。病気も貧困も失業もない、と語る乗組員に対して、ローウェルは、今の人間は画一化されている。天然の美も友情も失った、と言い返します。こうして議論される肝心の地球は、この映画には出てきません。あくまでも彼らは、宇宙で地球のことを話しているのです。他の乗組員は、地球に帰りたいという思いが強いのですが、ローウェルが考えるのは植物のことだけ。その彼の大事な植物を全て破壊しろ、という命令が出たのですから、ローウェルが平気でいられるわけがありません。
それまでは悪役が多かったブルース・ダーンが、一種のマッドサイエンティストを熱演しています。特に後半からの彼の演技は凄い。そして、チョコチョコ歩く可愛いロボット。その名をドローン。ドローンナンバー1から3まで居て、ローウェルはヒューイ、デューイ、ルーイと名付けます。このロボットたち、可愛い外見とは裏腹に、大変な優れもの。今まで幾多の映画でロボットを観ていますが、このドローンたちが一番可愛いと思えます。ドローンへの思い入れだけで、評価が一段階上がりそう。
宇宙から見たドームの中の緑の世界が美しい。土星の環も美しい。この辺りは、さすがにあの『2001年宇宙の旅』のトランブルだけあると思います。
1972年という時代に、今の時代を見越すかの如く作られた先進的な作品です。ジョーン・バエズのテーマソングが美しく、泣けるSFです。
当時、劇場公開がなく、TV放映、ビデオ発売の後に、やっと劇場公開されるという不遇な扱いを受けた作品だそうです。見る目がなかったですね。ジョーン・バエズのテーマソングが心に染み入るように美しく、思わず涙をこぼす傑作のひとつだと思います。
トレイラーです。