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LA MOME
2007年フランス・イギリス・チェコ映画 カラー 140分
監督 オリヴィエ・ダアン
出演 マリオン・コティヤール シルヴィー・テステュー パスカル・グレゴリー エマニュエル・セニエ ジェラール・ドパルデュー ジャン=ピエール・マルタンス ジャン=ポール・ルーヴ
1915年、第一次大戦中のパリで生まれたエディットは、18年にノルマンディーで娼館を営む祖母の元に引き取られる。そこで、エディットは娼婦たちに可愛がられながら育つ。特にティティーヌ(エマニュエル・セニエ)は、エディットを可愛がる。エディットは、角膜炎を患い、失明の危機にさらされるが、ティティーヌたちの祈りでそれを乗り越える。しかし、幸せもつかの間、大道芸人をしている父ルイ(ジャン=ポール・ルーヴ)に引き取られ、サーカスで仕事をすることになる。それも長く続かず、大道芸人の父を手伝ううちに、歌の才能を開花させていく。1935年、パリの名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレ(ジェラール・ドパルデュー)に見出され、彼女はエディット・ピアフと名付けられるのだった……。
フランスを、いや、世界を代表する大歌手エディット・ピアフの伝記映画です。話はエディットの小さい頃から始まり、スターへの階段を登っていく過程と共に、晩年の病で苦しむエディットを平行して描いていきます。
エディット・ピアフの歌は好きです。何と言っていいのでしょう。魂を揺さぶられる思いになるのです。彼女は、「歌ってこそ、人生」と言ったそうですが、まさにその通り。彼女は生まれながらの歌手であり、彼女の声は勿論、肉体全部が歌手だったのではないでしょうか。
多くの有名人にあるように、エディットの子供時代も幸せなものではありませんでした。母に捨てられ、祖母に預けられます。そこは、娼館で、およそ子供が育つような環境のところではありませんでした。でも、身体を売って暮らしている彼女たちは、エディットを可愛がり、エディットも彼女たちに懐き、エディットにとっては、一番楽しい子供時代ではなかったのでしょうか。特に可愛がってくれたティティーヌとの別れのシーンには、涙を誘われます。
路上で芸をする父を助けて歌い始めたエディットは、その素晴らしい歌声で人々を魅了します。そして、ルイ・ルプレに見いだされるのです。本名のエディット・ガションでは、ぱっとしないことから、ルプレは、彼女にエディット・ピアフという名を与えます。ピアフは、すずめの意味。ルイが、エディットを見て、すずめのようだと言ったからで、彼女は、ラ・モーム・ピアフとして売り出すのです。
やがて、彼女は、発声練習から始めた本格的な歌のレッスンを施されるようになります。そして、遂に音楽ホールでデビュー。偉大な歌手、エディット・ピアフが誕生した瞬間でした。
ただ、平行して描かれていく晩年の彼女は、かなりの我儘です。大スターならではの我儘なのか。体が思うように動かないことへのいら立ちなのか。まだ40代なのに、既に老婆のような姿には驚かされます。それでも、彼女は歌うことを止めません。
時系列がバラバラに描かれているために、いささかわかりにくいところが多いのは難点かもしれません。
そして、話は、世紀の恋と言われた、ボクサー、マルセル・セルダンとの愛へ……。「愛の讃歌」のメロディが流れ、すぐ次に舞台に移るこのシーンが一番の名場面かもしれません。
主演のマリオン・コティヤールは、この映画でアカデミー主演女優賞を受賞しました。それも納得の演技ぶりです。大柄なマリオンが、どうやって小柄なピアフを演じたのか。映画の中では、明らかにピアフは小柄に見えるのです。撮影のマジックなのでしょうか。ほとんど狂気のように歌を愛した、我儘いっぱいのピアフを、マリオンは憑かれたみたいに熱演します。
歌に燃え、恋に燃えた、世紀の大歌手エディット・ピアフ。恋多き人生だったのは、幼い頃の体験から、常に愛してくれる人を求めていたのかも。
全編、ピアフの生の歌声が流れます。彼女の歌声を聞くだけでも、価値のある映画です。
トレイラーです。