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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『荒野の用心棒』

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PER UN PUGNO DI DOLLARI
1964年イタリア映画  カラー 100分
監督 セルジオ・レオーネ
出演 クリント・イーストウッド ジャン・マリア・ヴォロンテ マリアンネ・コッホ



 ニューメキシコ国境の町、サン・ミゲル。この町では、バクスター一家とドン・ミゲル・ロホ一家が、町を牛耳っていた。特に、ドン・ミゲルの弟のラモン(ジャン・マリア・ヴォロンテ)は、暴れ者で、中心的存在だった。この二家族のやりたい放題で、無法地帯となっていた町にふらりと現れた腕利きのガンマンがジョー(クリント・イーストウッド)。バクスターの仲間を4人殺し、ロホ一味の用心棒になろうとするが……。



 TVドラマ『ローハイド』のロディ役で人気を得たクリント・イーストウッドでしたが、その後が続かず、イタリアに渡って撮った映画がこの『荒野の用心棒』です。黒澤明の『用心棒』のリメイクに近いもの。この一作で、監督のセルジオ・レオーネ、音楽のエンニオ・モリコーネ、そして主演のクリント・イーストウッドは、出世街道をばく進することになります。マカロニウエスタンという新ジャンルの最初かどうかは知りませんが、代表作であることは間違いありません。


 冒頭から流れる口笛。エンニオ・モリコーネの哀愁に満ちた音楽が、惹きこみます。赤と黒のオープニングは、ソウル・バスによるものだそうです。


 悪が牛耳る町に、ふらりとやってきた凄腕ガンマン、というストーリーは、西部劇でも王道で
しょう。大抵、その凄腕ガンマンは正義の味方なんですよね。弱い町の人たちの味方をして、悪を駆逐して、去っていく。わかってはいても、そういう西部劇、好きです。


 ところが、マカロニウエスタンのこの作品は、そうは簡単にいきません。肝心の主役のイーストウッドが、正義なんだか悪なんだか、良くわからないのです。実際に、あっちについてみたり、こっちについてみたり。何を考えているのかさっぱりわからない。これが西部劇だったら、評価が低いでしょうね。でも、マカロニって、きっとこういうものなんでしょう。


 イーストウッドはとっても格好良いですね。あのスラリとした長身で立つと、やはり相手を圧倒します。彼が着ているポンチョには憧れて、メキシコで似たようなものを買いました。そのポンチョを着て、『荒野の用心棒』の音楽を口ずさみながら登場するのが夢だったのですが、未だにやったことがありません……。

 
 私、西部劇は大好きなんですが、実はマカロニウエスタンは苦手なんです。何でって、残酷だから。そして、女性への扱いも酷いんですよね。この作品で、イーストウッドは、ロホに軟禁されているマリソル(マリアンネ・コッホ)と、バクスター夫人のふたりと関わりを持ちます。彼が、女性に抱く思いって、どんなものなんだろう、と考えさせられます。


 そして、両家の争いが、エスカレート。これも、ここまでやるか、というくらい残酷。この町が「殺しと埋葬で忙しい町」と言われるのもわかります。


 果たして、イースウッドが考えていることは何なのか。サスペンス性さえも備えた映画です。


 この映画で、イーストウッドは大スターになりましたが、煙草が苦手で、監督に「セルジオ、シガーだけは勘弁してくれ」と懇願したそうです。セルジオは、勘弁してくれなかったようですが。


 イーストウッドが『許されざる者』でアカデミー賞を貰った時、「セルジオ・レオーネとドン・シーゲルに捧ぐ」と最後にクレジットが出ました。この二人の監督に出会わなかったら、今のイーストウッドはいなかったでしょう。



英語版のトレイラーです。





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