クリスマスに雪はふるの? [DVD]/オンリー・ハーツ
¥5,122
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Y AURA-T-IL DE LA NEIGE A NOEL?
1996年フランス映画 カラー 90分
監督 サンドリーヌ・ヴェイセ
出演 ドミニク・レイモン ダニエル・デュヴァル ジェシカ・マルティネーズ アレクサンドル・ロジェ
南フランスの農村。パパとママと7人の子供たちが営む農園があった。ママは優しいが、パパは厳しい。小さな子供も容赦なく、農産物の刈り入れにこき使われる。中学生の長男に至っては、畑を作る仕事をひとりで担っているにも関わらず、父親に叱責され、不満が溜まっている。一日の仕事が終わると、父親は帰っていく。父には本宅があるのだった……。
藁の中で子供たちが遊ぶシーンから映画が始まります。子供たちの楽しそうな笑い声。季節は夏。夏休みを思い切り楽しむ姿です。しかし、すぐに父親から呼ばれます。作業を手伝え、と。その一言で、子供たちは、今までの遊びの世界から、農作物を刈り入れたり、仕分けしたりする、現実の世界に引き戻されるのです。その仕事をするのは、真ん中の4人の子供たち。長男ブリュノは、ひとりで力仕事を引き受け、長女ジャンヌは、末っ子の赤ん坊の世話をします。子供は全部で7人。上の子以外は、年が近いので、最初のうちは誰が誰だかとまどいます。
場所は、南フランス、プロバンス地方。誰もが憧れる、陽光降り注ぐ、美しく、食べ物が美味しい地方です。ただ、その食べ物を作り出す農家の人たちは大変。現実の農家の大変さを、これでもか、と厳しく描いていきます。
ママは、農作業を一日頑張り、子供たちの世話もする働き者。どんなに疲れていても、子供たちを抱きしめ、愛しているといい、大きな大きな愛で、子供たち全員を包み込んでくれます。でも、ママはパパの本妻ではないのです。
では、さぞかし本妻は御立腹だろうと思いきや、そうでもない。もうあきらめたのかもしれませんが、手伝いに来た子供たちを受け止めます。本妻の子供たちは、もう大きいのですが、そのうちの二人は、ママの家の農作業に従事しています。実に、不思議な関係の上に彼らは成り立っているのです。ただ、ひとつだけ言えることは、パパはワンマンだということ。大きな息子たちでさえ、パパの言うことには逆らいません。
夏が終わり、学校が始まり、子供たちも農作業ばかりの一日から解放されるようになります。しかし、学校に行けば、私生児と呼ばれる……。そんな弟をかばう姉。7人のきょうだいたちは、ママと共に小さな家で、必死に助け合いながら生きているのです。
でも、決して苦しいだけの物語ではありません。子供たちが、学校に行く時に、傘の代わりに大きなシートを4人で頭の上に掲げて出かけていくんです。その可愛いこと!大きな子たちは、上の学校で、それなりの出来事にも直面します。
やがてクリスマスの季節がやってきて、子供たちが総出でツリーを飾る時にみんなで歌う『ジングルベル』のフランス語版の歌も可愛い。
そして、何と言っても、子供たちがとても可愛いのです。よくぞ、こんな可愛い子たちばかり探してきたな、と感心するくらい可愛いのです。
ママ役の、ドミニク・レイモンは、大熱演です。農家の主婦として、大変な毎日で疲れ切りながらも、子供たちひとりひとりの言うことに耳を傾けることを忘れません。素敵なお母さんです。
極力音楽も排した静かな映画です。額を伝う汗と、むせかえるような玉ねぎの匂いが感じられるようなリアルな映像です。季節の移ろいと共に、一家はどうなっていくのか……。
佳品です。
トレイラーです。
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『クリスマスに雪はふるの?』
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