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Channel: 銀幕と緑のピッチとインクの匂い
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『アメリカン・スナイパー』

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アメリカン・スナイパー ブルーレイ&DVDセット (初回限定生産/2枚組/デジタルコピー付) .../ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

¥4,093
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AMERICAN SNIPER
2014年アメリカ映画 WB カラー 132分
監督 クリント・イーストウッド
出演 ブラッドリー・クーパー シエナ・ミラー ルーク・グライムス ジェイク・マクドーマン


 少年の時から、父親から射撃の腕を鍛えられていたクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、ネイビー・シールズに入り、過酷なしごきに耐える。卓越した射撃の腕を買われた彼は、狙撃手として腕を磨いていく。イラク戦争に派遣されたカイルは、味方を守るために、狙撃手として活躍を続け、やがて「レジェンド」と賞賛されるようになっていく……。



 これは実話です。イラク戦争で、レジェンドと言われたシールズの狙撃手クリス・カイルの回顧録『ネイビー・シールズ 最強の狙撃手』を映画化したものです。カイルは、4度も戦場に赴き、160人以上の敵を射殺した生きる伝説でした。そんな彼の、英雄であればあるほどの使命感と葛藤を描きだしていきます。クリント・イーストウッドの、緊迫感あふれる演出が光ります。

 
 海軍の中でも特殊部隊として知られるシールズ。そのメンバーになるためには、想像を絶した過酷な訓練を耐え抜かねばなりません。映画などでも、危機に直面した時に、超人的な活躍をする元特殊部隊員などというストーリーが多々ありますが、元~がそんなにいるかどうかは別としても、それだけの訓練を積んできたのだなということが理解出来ます。

 カイルは、そんなシールズの中でも、狙撃手として戦争に参加します。狙撃手は、ある意味孤独なポジションとも言えるでしょう。陸上部隊が街に出ている時に、狙撃手は建物の一部屋に身を潜め、腹這いになって銃を構え続けるのです。交代要員が来るまで、そうし続けるのです。

 大変印象的な、というか、手に汗握る場面があります。建物の屋上からカイルが狙撃をする場面です。アメリカ兵に害を及ぼしそうな敵をあらかじめ見つけて、狙撃するのが彼の仕事なのです。爆弾を持って走って来る敵などは、もっての外。もし、それが子供だったら?それでも任務を遂行するのが彼の務めなのです。撃ちたくない、でも、撃たねばならない。「捨てろ、捨てろ!」と言い続ける彼の葛藤が伝わってきます。

 そんなカイルも、結婚して、妻のタヤ(シエナ・ミラー)と家庭を持ちます。子供も生まれ、穏やかな生活を望むタヤの気持ちは理解しながらも、戦場へと戻っていくカイル。驚くのは、戦場で、カイルが妻タヤと携帯電話で頻繁に連絡を取り合うことです。何と銃撃戦の最中にまで!電話越しに、銃の音を聞くタヤの気持ちはいかばかりか。

 シールズメンバーの90%は、離婚するそうです。戦争というものは、幸せだった家庭生活をも簡単に壊していきます。

 カイルを演じるブラッドリー・クーパーは、最初は彼だとはわからないほどでした。すっかり肉体改造をして、筋肉だらけの、いかついシールズ戦士になりきっています。

 
 カイルがレジェンドとなるまでには、沢山の命が失われたということでもあります。しかし、そのおかげで救われた沢山の兵士も、また、いるのです。
 
 戦争にも、テロにも、正義も理屈もない。ただひたすら考えさせられる映画です。


 
 トレイラーです。



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